山梨俊夫「美術の愉しみ方」

昨日に続き中公新書の2冊目。 まあ身近なところで美術を愉しむことは できていると思うけれど、いわゆる現代 アートについては馴染んでいないのが正 直なところ。 美術が美しいとか楽しいとかだけではな い感覚、感情を観る人にもたらすという ことは理解で…

瀧口美香「キリスト教美術史」

副題が「東方正教会とカトリックの二大 潮流」とあるように、東方正教会の様子 の説明がきちんとあり、いままでカトリ ックとそこから派生したプロテスタント しか視野になかったのを、東ローマ帝国、 ビザンチン帝国あたりの宗教美術がすこ しわかった気に…

寺田理恵子「60歳から楽しむピアノ」

NHK3か月でマスターするピアノという 番組を見ていたのだが、そんなに弾ける わけがないと思っていた。その出演者の 元民放アナウンサーの本番までの経緯な のだが、バイエルから次へ進んだくらい の子供時代の経験のみで弾けるわけがな い。テレビに出ると…

最相葉月「れるられる」

生と死、正気と狂気、強者と弱者など、 境目について語る重すぎるエッセイ集。 厳しい内容に優しい作者に敬意。 れるられる (シリーズ ここで生きる) 作者:最相 葉月 岩波書店 Amazon ktoshi.hatenablog.com

高村薫「墳墓記」

いろんなことはあるけれど、はじめての 年、はじめての今日、明日。 読みはじめて数ページで脱落したが、も ういちどこんどはわからなくてもとにか く読もうと時間を置いて読む。 やっぱりわからない、万葉集、源氏、定 家などの古文、能楽の理解と深い教養…

椎名誠「続々 失踪願望。」

失踪願望シリーズ3冊目。 年相応なのかの病気と闘いながら、仕事 をし講演をし毎日のように仲間と会い、 ビール、酒を飲む。呆れる。 わたしなら病気だけで引きこもってしま うだろうに、なんともバイタリティに恐 れ入る、書きなぐったような日記なのに つ…

司馬遼太郎「豊臣家の人々」(下)

後半の4編、に下巻も読了す。 信長、秀吉、家康に翻弄される親戚、縁 者、その他、特に秀吉の波瀾万丈に押し つぶされる女性たちの悲運は哀しみしか ない。淀殿ですらそうとしか思えない。 やっぱり彼らを好きになれない。 でも司馬遼太郎の明晰な筆力には…

読み直す村上春樹13「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

再読2冊目、もう10年以上経っている のか。大筋は覚えてる、でも灰田と緑川 はほぼ記憶がない。 5人の仲間のことはそうだった、後半に 出てくる彼女もそうだった。でも灰田は なにものなのか、意識下での向こう側の 存在なのか、ある種の治癒か。だって…

司馬遼太郎「豊臣家の人々」(上)

来年の大河ドラマを見越して、新刊で新 装版が出たのを図書館で見つけたので借 りて読んでいる。 秀吉は敵にしても、身内の秀次にしても、 切腹させたら妻子供ら係累、女中ら世話 ていたものすべて殺すという非情さ、残 忍さがどうしても好きにはなれない。 …

T.E. カーハート「パリ左岸のピアノ工房」

新潮社のクレストブックスの一冊。 ピアノにまつわるすべて、ピアノそのも の、ピアノ音楽、ピアノ調律、ピアノ修 理、ピアノメーカー、ピアノ工房で働く 人達および周りのフランス人、すべてが 興味深く、楽しげで、夢の世界のような 物語。ノンフィクショ…

辻井喬「虹の岬」再読

2002年に読んでその再読。 永田和宏が学者と歌人の二刀流であるよ うに、この登場人物川田順も実業家と歌 人の両者で成し遂げた人であったことか ら、突然気分として引っぱりだして読み 直した。作者も実業家と作 家の二つの道を行く人であり、川田順と …

北村薫「雪月花」「水」「不思議な時計」

ひさしぶりの北村薫。本の小説という副 題があるように、本にまつわる小説とい うかエッセイというか。とにかく博覧強 記、話の9割はついていけない。 それでも本が本を呼ぶ、本の一節が別の 話につながっていく、本の登場人物から 話が跳んでいく、そこが…

読み直す村上春樹12-3「1Q84」BOOK3

全3巻読了しました。当時BOOK4がある のかと話題になっていたことも思い出し た。2009~10年だから、もう16 年前に読んだのだ、50代ばりばりの頃。 オウムも震災もあって、多く災厄や邪悪 な世界をぶち込んで大柄な物語を作り、 わたしたちはそれ…

読み直す村上春樹12-2「1Q84」BOOK2

カルト宗教といい、DVといい、こんなに ハードな物語だったことを忘れていた。 これに対峙するため性描写もハードで、 それでも強く確固たる物語を紡いでいる。 どこへ行くんだ、1Q84、止まらないぞ、 再読なのに。 そう、思い出した、BOOK1と2は同時発 …

読み直す村上春樹12-1「1Q84」BOOK1

2009年から2010年に「風の歌を聴け」か ら「海辺のカフカ」まで長編再読したの だが、あれから15年、その続きをやるこ とにする。 まずは「1Q84」の1巻、さっそくの めりこむ。 1Q84 BOOK 1 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon ktoshi.hatenablog.com

吉田修一「罪名、一万年愛す」

ハズレのない吉田修一にしては、らし くない話とその展開。わたしの好みで はありませんでした。 罪名、一万年愛す (角川書店単行本) 作者:吉田 修一 KADOKAWA Amazon ktoshi.hatenablog.com

佐藤秀明「三島由紀夫ー悲劇への欲動ー」

岩波新書の三島由紀夫評論。 まあ、おさらいという感じ。仮面の告白、 金閣寺、潮騒あたりを大昔に読んで、春 の雪他四部作を昔に読んで、美しい星や あと何を読んだかなあ。そして今回、宴 のあと他を読んで。わたしはやっぱり彼 の思想とか歴史観とかに関…

三島由紀夫「宴のあと」

3冊目。 傑作だと思う、三島がこういういささか 下世話な話を書いている。政治家が選挙 に出る、高級料亭の女将が支援する、政 治の表裏、権力の駆け引きがおもしろく ないわけがない。そこに人間を見る、本 性を見る。 ちょっと前にこれからは国内外の出来…

三島由紀夫「愛の渇き」

豊穣の海4部作とか何作か読んでいたが、 何十年ぶりに新たに2冊目。 三島25才の作品というので驚く。 未亡人の愛の渇きというものを、嫉妬と か情念とかを通して描く。三島らしい描 写の豪華さが観念的にも思えるが、止ま ることなく読み進め、ラストの…

三島由紀夫「美徳のよろめき」

「春の雪」の文庫を書棚から探したが見 つからず、以前もう三島を読み返すこと はないと全部処分したんだっけなあと、 図書館へ行って未読本を三冊借りてきた、 まずは「美徳のよろめき」。 現代に読めば、ただの不倫小説、でもな んというかヨーロッパの近…

平野啓一郎「三島由紀夫論」

せっかく図書館で借りてきて半分もわか らない内容だけど、走りながらも時間が かかっても読みました。 だれもが幼年期から家族や環境や時代か ら影響を受けながら、どこかで裂け目を 見せ変異的に大きく開花する人がときど きいる。三島もそのひとり、読ん…

次に読む本2

言葉が足りなかった。 谷崎に続いて永井荷風をと思ったのは、 ともに戦時中に迎合せずマイウェイを貫 いたことで関心があったからであり、三 島はいくつか読んでるけど生誕100年 というので主要なものは読んでおくかな と思ったからである。それで三島事…

次に読む本

ぐうたらしているせいか本が読めない。 永井荷風はどうかなと濹東綺譚を読みは じめたがうーん。三島由紀夫はと考え、 まだ読んでないのを読む前に平野啓一郎 の三島由紀夫論を読みだしたがむつかし くて。そういえば三島が北杜夫の楡家の 人びとを絶賛して…

梶原阿貴「爆弾犯の娘」

驚きの告白本、しかも作者はあの「櫻の 園」のとんがってた三年生のあの子、ロ パーヒン役のあの子である。 といって爆弾犯の娘であっても本人が爆 弾犯ではない、関係ない、問題ない。 14年間わけわからず逃亡生活をしてい た暮らしぶりはフィクションの…

浦沢直樹「PLUTO」全8巻

これはスマホで読んだのではない、本を 読んだのである。 小学生の時、月刊「少年」を購読してい て、鉄腕アトムの地上最大のロボットと いうのにはリアルタイムで(月1回なん だけど)ほんとにワクワクして読んだ、 ただの戦いものではないなにかがそこに …

原田宗典「おきざりにした悲しみは」

吉田拓郎からタイトルを持ってきたのだ ろう、それで手に取ってしまう私もなさ けない。 不祥事でブランクがあった作者の作品を 久々に読む、さくさく読む、読める。 昭和のフォークを歌う少女も、王義之を 突然書く少年も唐突だけどまあそこはな んとかファ…

門井慶喜「天下の値段」

門井慶喜はわかりやすくおもしろいので 暇なときについ手に取ることがある。で もわかりやすいのでひっかかる、歴史を おもしろく語るのでひっかかる、ひとつ のジャンルなんだからしょうがないんだ けどね。 堂島の米騒動、先物取引のからくりの少 しはわか…

「将棋の渡辺くん」

「のだめカンタービレ」に続いて「将棋の 渡辺くん」というのを見つけて、毎日一話 づつ読んだ。 渡辺明九段は三冠の頃には申し訳ないけど こわもてのヒールの強さの印象を勝手に思 い込んでいたのだが(特に将棋ファンじゃ なかったので)、地元の藤井君が…

別冊太陽「三島由紀夫」

以前にも書いたが、図書館へ行ったとき は読みたい本を一冊と画集かムックかそ んなものを一冊借りてくる。 次の準古典を何読もうか思案しているの で三島由紀夫ムックを手に取ってみる。 だいたい知ってること、文学以外のいろ んなことは別として、昔読ん…

車谷長吉「癲狂院日乗」

高橋順子のあとがきによれば、出版社が 発行を引き受けてくれなかった日記であ る。 これは好き嫌いである。 作家が自分を露悪的に曝け出す、親戚や 周りの編集者、知人の個人的なことを暴 き晒す、これは作家の業であると開き直 る。でも例えば白洲正子と親…