三浦しをん「きみはポラリス」

ポラリスは北極星なのだそうだ。きみは動 かない天の中心の星ということなのだろう。 三浦しをんの短編集、「骨片」「森を歩く」 がよかった。ちょっとどうかなと思わせる のも含むいろんな恋愛の在り方を示す。 きみはポラリス (新潮文庫) 作者:しをん, 三…

村上春樹「猫を棄てる」

村上春樹の父と父の戦争について語られた 作品。基本は父との和解、あるいは息子の 帰還(放蕩息子の帰還か)である。ここへ きて父のことを知りたいと思い調べ、その 歴史を継承していく作業をとおして父と和 解する、子供のいない村上春樹はこういう かた…

三浦しをん「まほろ駅前番外地」

まほろ駅前のスピンオフ短編集。 こっちのほうがおもしろかった。もう一冊 シリーズがあるので入手せねば。 まほろ駅前番外地 (文春文庫) 作者:三浦 しをん 発売日: 2012/10/10 メディア: 文庫

辻真先「たかが殺人じゃないか」

2020年のミステリ3冠をとった小説とい うので図書館で借りて読んだ。 わたしの好みではありませんでした、青春 ミステリというのは苦手。辻真先は名古屋 では昔有名だった代議士を親に持ち、テレ ビの脚本家、作家として知っていたが、本 を読んだのははじめ…

國分功一郎「暇と退屈の倫理学」

ベストセラーになった哲学の本らしい。暇 とか退屈とかの意味を考える、退屈の苦し さとかを考えて、自分だけの生き方のルー ルを見つけるというのだが、そんなことの 意味なんて考えたこともなかった。 ここでの結論は、消費するな浪費せよとい うことで、…

島田裕巳の新書2冊

本の題名が長いのでタイトル欄に書けない、 こういう題名を付けないと読んでもらえな いのだろう。 幻冬舎新書「なぜ八幡神社が日本でいちば ん多いのか~八幡/天神/稲荷/伊勢/出雲/春 日/熊野/祇園/諏訪/白山/住吉の信仰系統~」 と、同「浄土真宗はなぜ日…

中村好文「普段着の住宅術」

持っていなかった本が文庫になったので購 入、読んだ。やっぱり設計で誇示しない、 好奇心が溢れている、普通の建築家ではな いのに普通(普段着のか)の住宅を作る。 そして文章も楽しい、自分も楽しく暮らし たいと思わせる、豊かな気分になる。 普段着の…

木下長宏「ゴッホ<自画像>紀行」

ゴッホを研究するにいろんな切り口がある が、自画像に着目し全生涯を見渡すような 本、新書を読んだ。 彼の自画像は42点、描かれている時期はパ リ時代の2年間に集中してる。そこから謎 解きをしていく、スリリングで興味深くお もしろい。おもしろかった、…

三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

三浦しをんの直木賞受賞作をようやく読ん だ。ちょっとサービス精神が旺盛すぎる盛り込みではあるが、二人の背景が徐々に明 らかにされてどたばた話に奥行きを与えて いる。うまい、やっぱり三浦しをんは。映 画化もされてるんだな。 どっしりした堂々たる長…

横山秀夫「64(ロクヨン)」

もう新しい作家を読みはじめるのはやめよ うと思っていたのに辻原登は別格として、 三浦しをんを読みはじめ、こんどは横山秀 夫を手に取った、でもこれっきりの予定。 どうしてこういう警察内部を扱ったものが 人気があるのかというとやっぱり権力のあ る者…

原田マハ「ハグとナガラ」

美術物ではない作品、短編集。 ちょっと難解なものを読んでいたので、軽 く読めるものと、いやすぐに読み終えまし た。いろんなものを受け入れて前に行く、 そのためにすこしの息抜きというか栄養と いうかそれが旅だと、そう大きい声で云え る落ち着きが戻…

川端裕人「色のふしぎと不思議な社会」

副題に2020年代の「色覚」原論とある ように、先天色覚異常を取り巻く社会、 学問の先端研究を調べて、分析、提言 等を行ったノンフィクション。 先般、参加しているNPOでのリモート 講演会で作者の話を聞いて、早速本を 購入し読んだ。 色覚異常は、いまや…

藤田宜永「たまゆらの愛」

ぼーとしていたいときに読んだ本。 わたしの好みではありませんでした。文庫 で2cmもありそうなのでたいへんだった、 やめたら結末がわからないのでやめられず。 たまゆらの愛 (光文社文庫) 作者:藤田 宜永 発売日: 2019/04/26 メディア: Kindle版

原田マハ「あの絵のまえで」

いつもの美術題材の短編集。このジャンル を切り拓いた彼女はなにを書いても許され る世界がある。ここからその絵を見に行く、 羨ましい限り。 〈あの絵〉のまえで 作者:原田 マハ 発売日: 2020/03/18 メディア: 単行本

三浦しをん「風が強く吹いている」

箱根駅伝を舞台にした大学生のファンタジ ースポーツ小説である。現実にはありえな いなどと思って読んではいけない。その前 提で主人公二人の走ることの爽快感、美し さみたいなものが伝わってくる、読んでい て気持ちがいい。勝ち負けではない強さと いう…

辻原登「闇の奥」

これはむつかしかった。現実と虚構が、フ ィクションとノンフィクションが入り混じ り、理解できないままに物語は進んでいく。 サリンジャーの笑い男(ナイン・ストーリ ーズ)がうまく私の中で消化できず、カレ ー中毒事件もCIAも出てきて、後半、女医 さん…

ヨシタケシンスケ「りんごかもしれない」

ロングセラーになっているヨシタケシンス ケの絵本、知らなかったがそういえば書店 でみたことがある、彼のイラストも絵本売 場じゃないところでもみたことがある。 その第一作が「りんごかもしれない」。 絵本にしてはかなりの盛り沢山の情報とい うかアイ…

長谷川恭男憲法教室

昨日と同じ岩波新書高橋源一郎「読んじゃ いなよ」から長谷川恭男の教室。この人の 東大退官の挨拶文(web、今はない)が興 味深かったし、アメリカンロックが好きで ベースを弾いてたことがあるとか普通の生 活もあるんだと。さて憲法をロジックに説 明する…

辻原登「発熱」(上)(下)

このコロナ渦の半年は、辻原登マイブーム の半年だ。今回は「発熱」、日経新聞に連 載していたものだそうだ。だから金融業界 の戦いの話で、その中身は読んでもまるで わからない。大金持ちのフィクサーたちの 金満暮らしぶりの中で大切な人にだけ純愛 を貫…

丸谷才一「笹まくら」再読

昔に読んでわたしのオールタイムベストい くつに入る大事な小説を再読。 現在(といっても60年代)と戦争中を行も 空けずいったりきたりする、現代がちょっ と冗長すぎるなと思いながら読み進めるが、 次第に戦争中の忌避中のディテールが明ら かになってき…

安野光雅「私捨悟入」

安野の最新エッセイ集。 年老いても好奇心にあふれ知識欲も旺盛で ある。長生きしてください。私捨悟入作者:安野 光雅発売日: 2020/08/20メディア: 単行本

平野啓一郎「空白を満たしなさい」(上)(下)

死んだ人間が生き返る、主人公は自殺だっ たのだが生き返り、自分がそうした理由が わからない、殺されたと考える。そのこと で家族も職場も巻き込み、読むのを中断で きないほどスリリングに展開していく。 作者の考え方、分人、分人主義という考え が織り…

会田誠「げいさい」

美術家の会田誠がどんな小説を書くのか興 味を持って読んでみた。美術大学、芸術教 育、美術予備校の様子、とくに受験絵画と いうものへ批評、批判を物語に落とし込ん で面白く、ためになった。 芸祭に絡む会話、議論は斜め読みをしたが、 最後の方で恋人が…

宮部みゆき「あかんべえ」

ちょっと読むのに長くかかってしまった宮 部みゆきの時代もの、人情もの。幽霊がで てくるし、なかなか暗い背景があるのだが、 おっとりした展開でほのぼの楽しめる。空 いた時間にすこしづつ読んだ、他の本に抜 かれていった。 あかんべえ (PHP文芸文庫) 作…

村上春樹「一人称単数」

村上春樹の短編集はかつてはポップで瑞々 しくて好きだったが、だんだんなにかよく わからなくなって、いや以前もわからない んだけどポップさ、新鮮さで楽しんだだけ かもしれないけど。そして新刊短編集。 8編の短編の最後は「一人称単数」、違和 感という…

佐々木譲「代官山コールドケース」

「地層捜査」に続く特命捜査対策室シリー ズの第二弾だった、知らなかった。 あっというまに一気に読んだ、休むことな くどんどん調査して、しかも複数の線から 調べて犯人を見つけだす、ぐいぐい読んだ。 朝香刑事部長(女性40代)がいい。 代官山コールド…

辻原登ほか「歌仙はすごい-言葉がひらく「座」の世界」

辻原登(作家)、永田和宏(歌人・生物学 者)、長谷川櫂(俳人)の3人が歌仙を巻 く。歌仙をすることを巻くと云うらしい。 いまはまっている辻原と尊敬の永田先生と 指南役の人(知らぬ)が丁々発止で進めて いく。いくらかのルール説明を加えながら、 辻原…

森見登美彦「四畳半タイムマシンブルース」

ヨーロッパ企画の「サマータイムマシンブ ルース」をなんばのインディペンデントシ アター2ndという怪しげなホールで見たの はいつだったか。ちょっと噂を聞きつけ、 webで販売初日に席取りをして前列2列目、 学生演劇みたいにみかん箱の座席だった。 こう…

清武英利「しんがり 山一證券 最後の12人」

気になっていたタイトルの本、作者と読売 と喧嘩した巨人の元社長が一致したのだが、 元々読売の記者だったのだからノンフィク ションが書けるのは当たり前か。 山一証券が自主廃業したのは1998年、わた しが在職していたところも右往左往してい た頃でよそ…

辻原登「Yの木」

3つの短編とひとつの中編からなる作品集。 「たそがれ」苦い姉弟愛。 「首飾り」ヴェネチアで宝石を買う話(こ れは粋にまとめて面白かった)。 「シンビン」人生のシンビン。 「Yの木」辻原登が成りえなかった売れな い小説家の話、いろんな作家が実名で出…