高村薫「わが手に拳銃を」

高村薫の長編はそろそろ網羅してきたよ うに思うが、この「わが手に拳銃を」と 「李歐」はセットで読みたいと思ってい たのでようやく準備ができて、まずはこ ちら。時間がかかった、話も複雑でよく わからなかったところがある。まあその まま続けて「李歐…

池上英洋「パリ華の都の物語」

図書館の新刊棚でみつけて借りてきて読 んだ。歴史、社会、生活、文化を網羅し ながら、作者の専門の芸術を随所に絡ま せてとてもわかりやすく紹介している。 ほかのフランス史やパリ本とは異なり、 美術や建築に詳しい説明が特徴的で図版 も多い新書である…

池澤夏樹「ノイエ・ハイマート」

池澤夏樹の新刊、ちょっと構成がモザイ クのような現代アートのような。 ノイエ・ハイマート(新しい故郷)を求 めて難民になる、そういう話だ。世界の いたるところでそういうことがあり、日 本でもほんの80年前に満州などから難 民として引き揚げてきた…

武田徹「神と人と言葉と 評伝・立花隆」

立花隆の評伝である。哲学や先端学問の ところはまるでわからないので流し読み しながらぐいぐい読んだ。 立花隆のことはいろんな本でおよそ知っ ていたが、評伝であるからには負の部分、 誤解曲解、間違いの指摘がきちんとされ ていることが重要。私生活の…

原田マハ「板上に咲く」

きままに木版制作をやっているので、棟 方志功のことはそれなりに知っており、 その彫りの力強さ、熱量は圧倒的である。 その若者時代から世界のムナカタになる までを妻の視点で語られる。妻の苦労は 普通ではない、楽天家だったか辛苦に耐 えたかそのあた…

池澤夏樹「詩のなぐさめ」「詩のきらめき」

詩人池澤夏樹が詩を読む喜びを語る。 詩は苦手である、特に日本語以外の翻訳 された詩はどうなのかよくわからない。 だから日本語のわかりやすいものだけを ときどき読む、谷川俊太郎とか。 世界中に古くから詩というジャンルがあ り、映画なんかで詩の一節…

牧野宣彦「ゲーテ『イタリア紀行』を旅する」

これもブックオフで見つけた集英社新書。 ゲーテがイタリアへ大旅行したことはな んとなく知っていた、でもゲーテのイタ リア紀行を読む気にはならないので、ど んなものか都合のよさそうな新書だった ので読んだ。 ゲーテは1747年生れ、旅行に出たの が…

恩田陸「歩道橋シネマ」

ブックオフで恩田陸の新潮文庫の見たこ とがない文庫を見つけたので読んだ。 ひさしぶりというか一時沢山読んだけど いまは視野外。短編集というよりもアイ デア出し、スケッチみたいなもの、相変 わらず恩田陸らしい感じのもの多し。 懐かしかったです。 歩…

椎名誠「続 失踪願望。」

続編が出たので読んだ。先回はシーナも 年を取ったと感慨深かったが、コロナ明 けの今回は旅、酒、遊びとフル回転。 盟友目黒孝二が亡くなって落ち込むかと 思われたが、哀しみを抱えながらも今ま で以上に走り回っているよう。 巻末に「さらば友よ!」を掲載…

橋爪大三郎/大澤真幸「げんきな日本論」

このお二人の対談集は面白くて読んでい るのだが、今回は日本論、日本人論。 日本すごいぞ本ではない、 日本史へのい くつもの疑問を議論することで、日本の 特徴を浮かび上がらせる。前半の土器、 古墳、ひらがな、権力の構造等がおもし ろくなるほどと思わ…

丸谷才一「輝く日の宮」再々読

2003年購入初読、2008年再読、 そして今回再々読。 もちろん「光の君へ」つながりで。 前よりもわかる、もちろんわからないと ころも多いが面白さも深くなってきたよ うに思う。最後に一行アキもあったし。 やっぱり丸谷才一はおもしろい。 先日会っ…

三浦しをん「私が語りはじめた彼は」

大学教授をめぐる教え子、妻、再婚相手 等との関係の謎を連作短編で語る。 よくわからない、それでも一気に読ませ る。三浦しをんの純文学なんだろう、い ろいろ読んでいるがこんなのははじめて 読んだ。 私が語りはじめた彼は(新潮文庫) 作者:三浦しをん …

長谷川宏「日本精神史 近代篇 下」

長谷川宏の新書がなかなか面白かったの で、図書館で他の本を探したら、「日本 精神史 近代篇 下」というのに、戦中戦後 のそれなりに知っている人物について書 かれているのを見つけ借りてきて、興味 深い人のみ読んだ。 谷崎潤一郎、松本竣介、大岡昇平、…

池澤夏樹/鈴木敏夫「ジブリをめぐる冒険」

池澤夏樹と鈴木敏夫の対談集といおうか。 映画君たちはどう生きるか封切とジブリ パークに併せて。 宮崎駿の天才性を評価するのはよしとし て、池澤がそこまでジブリを誉めるのは ちょっとね。 でもおもしろかったです。 ジブリをめぐる冒険 作者:鈴木 敏夫,…

内田樹「おじさん的思考」

内田先生のほんとの初期の本、2冊目の ものらしい。なかなか尖った文章、まだ 「芸」が確立されていない。 でも、九条と自衛隊の矛盾していること を補完しあって存在していることが、日 本の知恵であること。刑法37条を常識 的に受け入れること。そういう…

長谷川宏「幸福とは何か」

先日、新聞で長谷川宏という在野の哲学 者を知ったと書いた。図書館へ行き棚を 探したら彼の中公新書を見つけこれなら 読めそうな気がして借りて読んだ。 わたしはビジネス本や人生訓本を読まな い、だから幸福とは何かというような題 名の本を読まない。 一…

橋爪大三郎「教養としての聖書」

旧約聖書の「創世記」、「出エジプト記」、 「申命記」、新約聖書の「マルコ福音書」、 「ローマ人への手紙」、「ヨハネ黙示録」 の6つの書物をダイジェストで解説する。 旧の方はある程度知っているけれど、新 はまるでわからない、まだカルト宗教だ ったこ…

別冊太陽

近所の図書館へ行って、別冊太陽を一冊 借りてくるのが今のマイブームとなって いる。あまり借りる人がいないのか汚れ もない。最近では、 「川瀬巴水と新版画の作家たち」 「源氏物語の色と装束」 「芹沢銈介の日本」 「柚木沙弥郎」 この柚木という染色家…

万城目学「八月の御所グラウンド」

直木賞というので読んだ、つい。 本は短編「十二月の都大路上下ル」と中 編「八月の御所グラウンド」からなる。 短編の方がおもしろい、ベタだけどいい 話である、続編を期待したい。 受賞作の中編はちょっと意外、フィール ド・オブ・ドリームスじゃないか…

池澤夏樹「天はあおあお 野はひろびろ」

池澤夏樹は住まいを転々とする人だ。 ギリシャ、沖縄、フランス、北海道、そ して長野へ。これは北海道時代のエッセ イ、生まれた故郷北海道への想い、それ に関わる時評、視野は広く、考察は深い。 それでも次の土地へ移住していく、そこ で新しい物語をつ…

宮本輝「よき時を思う」

宮本輝やいくつかの作家の小説は出張の 友だった。となりの席でパソコンを開い てメールや仕事をしている人を横目に、 どんどん読める小説を読む、申し訳ない。 いま無為な日々を享受していると、こう いう本がちょっとゆるい、いい話なんだ けど、うまくい…

瀬戸内寂聴「寂聴源氏塾」再読

「紫式部の欲望」を読んで、なにかこう いうのを読んだような気がするなあと本 棚を探していたらあった、2008年に読ん でブログに書いていた。そもそもドンフ ァン源氏の話でなく、女性の喜び哀しみ を描いた物語だったのかとすでに理解し てるじゃないか。 …

綿矢りさ「パッキパキ北京 」

綿矢りさを読むつもりはなかったが、新 聞かどこかで北京の現在が活写されてい ると読んだので、北京も上海も行ったこ とがない世界第二の大国にぴんときてい ないわたしの鈍い感覚を更新できるかと 読んだ。 これはなんだ、ブランド志向のイケイケ マダムが…

ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」

日本の準古典のみならず、海外の古典、 名作も読もうと気持ちだけはあるのだが、 ひさしぶりにその一冊。 「ねじの回転」は心理小説、ゴシックホ ラー、とにかく古典的作品ということは 知っていた。 で、読む。 ヒッチコックの「レベッカ」を思い浮か べる…

酒井順子「紫式部の欲望」

フィクションのNHK「光る君へ」を見る ことで、紫式部本人が千年前にほんとう に存在し生きていたのだと実感する、考 えてもいなかった、光源氏がフィクショ ンであるように、紫式部もフィクション だと。 関連本を読もうと図書館へ行ったら、い っぱいあっ…

辻原登「熊野でプルーストを読む」

辻原登の本を中心としたエッセイ集、お よび昔のこと、父のこと等を思い出すエ ッセイも含む。 プルーストのことを書いているわけでは ない、でもむつかしい、博覧強記である、 なんとなく彼の小説のバックボーンを垣 間見ることとなった。 熊野でプルースト…

別冊太陽「谷崎潤一郎」

谷崎潤一郎も一応一区切りつけて、この ムックを読む。 江戸、戦争、阪神間、女性、人となりを 俯瞰する。わがままに自分に正直に生き た人だった、戦時にも彼なりの抵抗もし た、現代なら炎上しただろう。 大谷崎らしい大人物だったと理解した。 別冊太陽23…

きたやまおさむ「むなしさの味わい方」

岩波新書の新刊、北山修の一般人向けの 本。なんとなく北山修、きたやまおさむ というと手に取っていたが、これはちょ っと距離があった。「むなしさ」という 感情がわたしにはピンとこない、わりと 冷淡に思い悩まないようにしているから だろう。 わたしに…

北村薫「中野のお父さんと五つの謎」

中野のお父さん第4弾。 なんとなく手に取って4冊目、いつも蘊 蓄がマニアックでむつかしい。今回は、 漱石と清張がわりとわかりやすく面白か った。月がきれいですね、か。 中野のお父さんと五つの謎 作者:北村 薫 文藝春秋 Amazon ktoshi.hatenablog.com

新書「書物の達人 丸谷才一」

集英社新書「書物の達人 丸谷才一」をブ ックオフで見つけて、こんな本が出てい たのかと読んだ。 丸谷才一に係る講演録で、川本三郎、鹿 島茂。湯川豊らによるものである。 丸谷才一はモダニズム文学といわれてい るが、モダニズムというのがいまひとつ わ…