「カラマーゾフの兄弟」第三巻読了

これにすこし時間がかかった。ちょっと飽 きてきたこと、ミーチャがあてもなくばた ばた奔走すること。 でもようやく父親殺しの場面へ、そしてミ ーチャへの尋問、これがまたミーチャがし ゃべりすぎていいかげんにしろよと思った こと。時間がかかった。さ…

死ぬまで生きる

まあ、あたりまえのことである。 MOOK「知の巨人立花隆のすべて」という 本を読んだ。そこで立花は、 人間は皆死ぬ力を持っている、死ぬまで生 きる力といったほうが良いかもしれない。 死ぬまでちゃんと生きることこそがんを克 服するということ・・・ なる…

白石一文「光のない海」

どうしようもないミーチャがえんえんと悪 態をついているものだから、なかなか読み 続けられず、つい他の本に手を出す。 ひさしぶりに白石一文、わりと新しい小説 みたい。以前とちょっと違うみたい、なん だか宮本輝みたい、何人もの男女の数十年 を書き切…

「カラマーゾフの兄弟」第二巻読了

第二巻読了。ひとつ目の壁である大審問官 のところ、ふたつ目の壁であるゾシマ越え、 ともに走ってとにかく読み流す。両者とも 深く理解したわけではないがなんとなく云 っていることはわかる、もういちど戻って 読み返すかもしれない。 とにかく二巻終わっ…

「カラマーゾフの兄弟」第一巻読了

この夏の宿題は「カラマーゾフの兄弟」を 読むことだった。ところが「三体」が割っ て入ってきて結構時間がかかってしまい、 夏の終りに読み始めることになってしまっ た。大学生なら9月末まで夏休みだからま あいいか。村上春樹がつよく推しているの でいつ…

劉慈欣「三体Ⅲ 死神永生」(上下)

「三体」全5冊の4,5巻を読了。 これはさらにSF、リアリティはほぼなし、 SFファンじゃないとちょっとつらい、や っぱり飛ばし読みしてしまった。 宇宙人類史SFにいろんなバリエーション を加えて読ませるのはうまいと思う。で もなあ地球から離れ、仲間た…

「山田稔自選集 1」

名古屋の郊外のブックオフで、京都の編集 工房ノアの山田稔の本を見つけたときはた いそう驚いた。惜しまれて閉店した京都の 「三月書房」のブログをときどき読んでき たが、(東京偏重じゃない)京大か京都の 学者、作家の、天野忠や山田稔などの作品 が紹…

劉慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林」(上下)

つづけて2巻、3巻である。 しっかりSFになってきた。ものすごい宇宙 への進出、宇宙艦隊とその戦力は膨大、地 球の経済力はそれを確保できるだけの膨大 さになっているのだろうか、誰がそれを生 みだしているのか。というような素朴な疑 問は置いておいて、…

佐々木譲「愚か者の盟約」

ねっころがっての読書。佐々木譲の政治サ スペンスというか、政界の実在人物たちに 主人公を入れ込んで、政争の中である種の 信念を持ちながらのしあがっていく物語。 6、70年代からの旧社会党の教条主義とい うかダメさ加減の中でいかに力を獲得し、 最後は…

村上春樹「古くて素敵なクラシック・レコードたち」

自分の趣味がどれも本になり、マニアックで村上春樹らしいなあと感心されるのはすごいことだ。こんどはクラシックレコードのコレクション、しかもLPレコード。 昔、持っていたクラシックLPレコードはた かだか50枚くらいだったがすべて売り払っ た。高校時代…

宮下規久朗「聖母の美術全史」

ちくま新書の2冊分くらいある大作「聖母 の美術全史」。副題にー信仰を育んだイメ ージーとあるように、聖母マリアのキリス ト教における位置付けから、信仰対象とし ての聖母から美術としての聖母まですべて を網羅したような記述で最後まで興味深く 読んだ…

劉慈欣「三体」(1)

友人のお薦めで読んでみる、5巻の内とり あえず第1巻。 オバマがインタビューで愛読したと明かし より有名になったといわれる。SFは苦手な 分野だし、物理学絡みのところはよくわか ないが、大きな世界観、宇宙観に惹きこま れた。第2巻を図書館に予約した。…

三浦しをん「まほろ駅前狂騒曲」

まほろ駅前3部作の3冊目、これで完結。 いままでの登場人物が再登場、多田の進展 と行天の過去を乗り越えていくのが不思議 と感動を呼びおこす。どたばたであるのに 静かな読後の喜びがある。うまいとしかい えない、よかった。 映画も見てみたいな。 まほろ…

上野千鶴子「在宅ひとり死のススメ」

孤独死を在宅ひとり死と呼び、忌み嫌うこ とはないと云う。そのとおり。 学者らしくデータにより説明していく、な にが本人にとって幸せか、それを自分で決 める。そのとおり。 すべて納得するわけではないが、こういう ことを云えるようになったのはよいこ…

平野啓一郎「本心」

平野啓一郎の新作長編、ゆっくり丁寧に読 んだ。近未来のAIによってヴァーチャル・ フィギュアとして亡くなった人を再現でき る世界で、主人公が母を再現し悲しみを癒 しさらに母の秘密を探す。 AIによる人の再現は、カズオ・イシグロの 「クララとお日さま…

佐藤賢一「最終飛行」

サン・テグジュペリとは名前からして孤高 の作家のイメージがある。「星の王子様」 以外の作品を読んだことがないが、出撃後 消息不明になった飛行士として知っている けれど人物はまったく知らなかった。ナチ スによるパリ陥落から反撃までの彼の行動 と人…

池波正太郎「剣客商売二 辻斬り」

剣客商売2冊目。 秋山小兵衛が異常に強すぎる、策士である、 人脈がありすぎる。そうか、剣客を商売道 具にしているのか、隠居してより自由に振 舞えるのか、そういうファンタジー小説だ ったと理解する。とりあえずここまで。 剣客商売二 辻斬り(新潮文庫…

池波正太郎「剣客商売一剣客商売」

熱が下がらず結局2日半ごろごろしていた。 それでふたたび禁断の時代もの小説に手を 出す、藤沢周平はすでに手を出してしまっ たが、池波正太郎はまったくはじめて。な にから読むかは以前に決めてあり数冊確保 してあったので「剣客商売」。 さて、「三屋清…

池澤夏樹「カデナ」再読

池座夏樹読み直しシリーズ久しぶり。 軍隊というもの、現代の戦争というもの、 一方、市民のスパイというもの(ベ平連で あろう)のやり方を小説らしいフィクショ ンとノンフィクションを混ぜ込んで面白い 物語となった。池澤が沖縄で体験したこと、 得た知…

藤原伊織「てのひらの闇」「名残り火ーてのひらの闇Ⅱ」

夏到来のせいか力がでない、ぼんやりして いる。先日のワクチン後の倦怠感はたんな る夏ボケだったかもしれない。 そんなんで、読む本もねころがって。 藤原伊織は直木賞を取った「テロリストの パラソル」を大昔に読んだきり。ちょっと 長い話を読みたかっ…

平野啓一郎「マチネの終わりに」再読

映画が納得できなかったので、本はどうだ ったかと再読。疑問に思ったところは本で はしっかり書き込まれている、丁寧なくら いに。ジャーナリストとしてもやれること をする確かな女性だった、ごめんね。 マネージャーの描き方が本と映画では異な る、映画…

唯川恵「淳子のてっぺん」

登山家田部井淳子さんの伝記フィクション である。沢木耕太郎の「凍」を読んだ時も 極限の山登りそのものに感動は感じなかっ たが、これも同じ、その苦しみと喜びは共 有できない。 しかし、田部井淳子の魅力はおおいに共感 する、こういう大いなる人がとき…

三浦しをん「舟を編む」

いまさら「舟を編む」である、ようやく読 んだ。わりと早く結婚して、わりとスムー ズに辞書が作られていく、辞書を作るとて つもない苦労もあまり伝わってこない。ち ょっと意外。お得意の仕事小説なので、辞 書を作るという特殊な仕事を垣間見る楽し さは…

宮本輝「錦繍」再読

先に、井上ひさし「十二人の手紙」を再読 し、こういう書簡小説ならやっぱりこれと 思ったが、宮本輝は30冊くらい持っていた 文庫本をすべて処分してきたので手元にな くブックオフで買ってきて読んだ、再読。 本当にやりとりしたような手紙ではない、 こん…

吉田修一「路(ルウ)」

台湾新幹線の開発竣工開通までのドラマだ と思っていたらそういう話ではなかった。 それに絡む4組の人間模様、恋愛であり、 家族であり、親友であり、悪人がひとりも でてこないいわゆるいい話で読ませる。 台湾へはいちど行ったことがあるが、確か に猥雑…

原田マハ「ロマンシェ」

パリのリトグラフ工房idemは、芸術新潮の 記事で知っていた。そこを舞台に、若い画 家志望とハードボイルド作家とあれこれが 軽妙にコミカルにはじけて活躍する、原田 マハお得意のアート小説。これはこれでい いでしょう。これを機に東京ステーション ギャ…

カズオ・イシグロ「クララとお日さま」

ミーハーなつもりはないのだが、カズオ・ イシグロの受賞第一作が出たので読んだ。 AI搭載の人型ロボットとある家族との交流 の話なのだがいくつもの流れがありじっく り読ませる。人間の心を慮るロボットは好 感を持たれ、かつ敵意を抱かれる、家族の 中で…

加藤典洋「村上春樹は、むずかしい」

加藤典洋の3冊目。 「村上春樹はむずかしい」はむずかしい。 村上春樹の作風が変化していることはわか っていて、そういうことかとなるほどなあ と思うけど、読書の喜びとしてはとくに必 要ではないなあ。でもときにひとつの作品 で世界を把握することがあ…

松家仁之「泡」

新作を期待している数少ない作家の新刊が 出たので早速読んだ。学校や世間と折り合 えない高校二年の青年が、遠くの叔父さん の店に身を寄せて自己を確立していく話な のだと思う。 この青年の心情はわたしのあの頃と共有感 があり自分事のように読んだ。そ…

井上ひさし「十二人の手紙」再読

最近この本がリバイバルで売れているとい うのでブックオフで買って読んだ。じつは むかし井上ひさしは文庫で数十冊持ってい たが処分してしまったのでやむなく。だか ら再読。手紙だけで書かれた小説なので、 宮本輝の「錦繍」と同じだが(宮本輝もた くさ…