辻原登「だれのものでもない悲しみ」

勢いで続けて辻原登、長編「だれのもの

でもない悲しみ」である。

昔、映画好きには憧れだった池袋の文芸

座がひとつの舞台になる。そこでフェリ

ーニの「カリビアの夜」を男と女が見る

ところから赤い糸が絡み合ってくる。と

いって単純な恋愛小説ではもちろんない。

ジェットコースターのような展開でどこ

へ連れていってくれるのかとひやひやし

ながら、さてラストは心中なのか、生き

る希望なのか。

ちょっと無理はあるけど、辻原登面白く

ないわけはない。

 

自分の覚えとして長中編リスト(既読は〇)

あと数冊か。

〇村の名前

森林書

〇だれのものでもない悲しみ

黒髪

〇翔べ麒麟

〇発熱

ジャスミン

〇花はさくら木

夢からの手紙

円朝芝居噺 夫婦幽霊

許されざる者

〇抱擁

〇闇の奥

〇韃靼の馬

〇父、断章

〇冬の旅

〇寂しい丘で狩りをする

〇Yの木

〇籠の鸚鵡

〇不意撃ち

〇卍どもえ

〇隠し女小春