映画「世界で一番ゴッホを描いた男」

2016年、中国・オランダ映画

中国の深圳の大芬(ダーフェン)という街

は世界シェア5割を超える複製画制作の

街なのだそうだ。美術館のお土産コーナ

ーで油絵のような立体感のある複製画が

売られていることがあるが、そういうも

のを作っているところがある、そうなん

だな。しかもこのドキュメンタリでの請

け負っている家族零細会社の大量の複製

画はオランダの美術館の外の道端にある

適当な土産物屋で売っている。

主人公の絵描き職人ははじめてアムステ

ルダムへ行き(この映画撮影のためだろ

うが)その事実にがっかりする、しかも

1割くらいの工賃であることに。

それでも彼ははじめて本物のゴッホを見

る、職人は職人なりにゴッホを研究し、

複製画を作っており(それでもわずかな

個性がでる)、本物を見ることで圧倒さ

れる。

そしてオリジナリティということを考え

る。生活のために複製画を作ることは問

題ない(贋作ではない)、でもゴッホ

求めたように自分の絵を描きたいと思う。

そうなのだ、そういう方向へ行くだろう

なと予想したが、やっぱりそうなのだ。

自分を表現したい。

思わぬドキュメンタリ映画を見せてもら

った。

 

高村薫「李歐」

これは「わが手に拳銃を」のリメイクで

ある。高村薫は文庫化するときに全面改

稿することは有名であるが、これはほぼ

別のものになっている。「わが手に拳銃

を」は単行本で上下二段組で文字が小さ

いので読みにくく走ってしまったところ

があるが、「李歐」は文庫、文字も大き

いこともあるのだろうが、とても読みや

すくなっている、こぼさず読んだつもり。

断然わかりやすくなって、結末はまるで

異なっている。

大阪の街がこれでもかと書き込まれ、生

活の小さなディテールがきちんと描かれ、

まったく高村薫である。

堪能した。

いまのところの長編はこれで全部読んだ

(新リヤ王は挫折しているが)、さあ次

作を待っています。

ktoshi.hatenablog.com

 

 

古川美術館、為三郎記念館再訪

30年以上振りだろうか、名古屋池下の古

川美術館と為三郎記念館へ行ってきた。ち

ょうど入手したチケットは「篠田桃紅展」

だった。

古川為三郎は日本ヘラルド映画というイメ

ージなのだが、年譜を見ると名古屋にいく

つもの映画館を作り、若いときに行った映

画館の多くは彼の映画館だった。さらに映

画配給会社も作り「地獄の黙示録」や「乱」

に出資したりした人だった。あらゆる事業

に参画したようだがやはり映画好きだった

んだろうなと年譜を見て思う。

 

 

高村薫「わが手に拳銃を」

高村薫の長編はそろそろ網羅してきたよ

うに思うが、この「わが手に拳銃を」と

「李歐」はセットで読みたいと思ってい

たのでようやく準備ができて、まずはこ

ちら。時間がかかった、話も複雑でよく

わからなかったところがある。まあその

まま続けて「李歐」を読もう。文庫化す

るときに大改変してタイトルも変えたよ

うだ。感想はまとめて。

 

池上英洋「パリ華の都の物語」

図書館の新刊棚でみつけて借りてきて読

んだ。歴史、社会、生活、文化を網羅し

ながら、作者の専門の芸術を随所に絡ま

せてとてもわかりやすく紹介している。

ほかのフランス史やパリ本とは異なり、

美術や建築に詳しい説明が特徴的で図版

も多い新書である。これはおもしろかっ

た。

 

演り人知らズ「どうせなにもみえない」

亀島の小さなアトリエで芝居を観るのは

3回目、ちょっと慣れてきた。わりと観

念的というか文学というか哲学というか

そういう芝居。45分の短い芝居、これ

くらいが集中できるひと区切りなのだそ

うだ。