次は「卍」
年を見ている、単に二人のベッドシーン
を見に行ったようなものだが、wikiを見
ると小説とは設定がまったく違う。
谷崎が単に同性愛そのものを書いたとは
思えない、人間の恋愛の複雑さ、女女、
男女、夫婦の駆け引き、とくに一番まと
もだった弁護士の夫が崩れていく終盤が
読ませる。全文が告白文というのか、女
性の大阪弁ばかり、しばらく住んでいた
だけに懐かしくたのしく、谷崎が阪神間
に住いを移しての収穫が頼もしい。
これも、あほらしいけどおもしかった。
そういえば辻原登「卍どもえ」はこれの
オマージュだったか。