津村記久子「水車小屋のネネ」

もう新しい現代作家は開拓しない、読ま

ないと決めていたのだが、あまりに褒め

られている本を知ったので図書館で借り

て読んだ。谷崎潤一郎賞

大長編、1981年から10年毎に仲の

いい姉妹が成長していく物語。目次から

して2011年という章があるのでそこ

がメインかと構えていたがそういうわけ

ではなかった。知らない町で姉妹はすこ

しづつ助けられ、助ける側にも立ち、手

を差し伸べあい、暮らしを豊かに膨らま

せていく。

その中心にネネがいる、水車小屋がある。

困った人やよくわからない人はどこにで

もいて、それも描くことで、そういう人

たちも含めて善き人たちになっていく、

ささやかな多幸感を得ていく物語となっ

ている。

3日間かかって読み終えて、この姉妹と

一緒に人生を送ったような読後感を持ち

これからも幸せにと願う、ネネも元気で!