廣野由美子「シンデレラはどこへ行ったのか」

僕らがルパンやホームズを読んでいた頃、

女の子たちは「若草物語」や「赤毛のア

ン」や「あしながおじさん」を読んでい

たことは知っていた。それらをコロナの

頃に読む機会があって、少女ロマンスと

思っていたものが実は自分で切り拓いて

く物語だったことに驚いたものだ。

男勝りの女の子の活躍を女の子たちが熱

心に読んでいたのはなぜだという疑問を

抱いていたところへ岩波新書新刊である。

実はその前に斎藤美奈子「挑発する少女

小説」が出て気になりつつ未読なのだが、

社会の変化により見直されているのだろ

う。

さて、廣野は「100分で名著」のホー

ムズの回をテレビで見ていて、落ち着き

払った大学教授ぶりが印象に残っている

のだが、英文学の学者なのでここでは

ジェイン・エア」を源泉とする少女小

説の意味を解いていく。やはり「若草物

語」「赤毛のアン」「あしながおじさん

は自立していく物語。王子様に頼らない

お話に、シンデレラの王子様を夢見る少

女たちが内的に自立の芽を育てていく励

ましになっているのだと感心する。

物語というのは人の深いところのわから

ないところになにかを植えているのだと

あらためて思う。女の子たちが次女のジ

ョーに魅かれていたとき、わたしは何を

読んでいたのだろう。「ジェイン・エア

も読んでみよう、忙しいなあ。

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