谷崎6冊目。
ちょっと印象と違っていた、もっと楚々
とした春琴をイメージしていたし、献身
というか純愛のイメージだったのだが。
これは確かに傑作、春琴のリアルな描写、
人物造形がすばらしい、わがままで厳し
くてそれでも魅力的な春琴像は見事。
文章はとぎれることなく流れるような、
たたみかけるような、その利点はよくわ
からないが、ほぼ抵抗なく読むことがで
きる。すっかり感心した。
ところで、昔ATGの新藤兼人監督「讃歌」
を観たような気がする。春琴抄の映画だ
ったがほとんど記憶がない。山口百恵の
春琴抄の予告編を観たことがある、だか
ら清楚な純愛のイメージができたのか。