2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

静かな5月だった(続)

5月はもう一日あった。 小椋佳の続き、彼は「生きていることを考 える時代」になったと云った。驚く。 中三の時女の子に手紙を書いたとき、これ からは生きているのでなく生きていくと書 いたことを覚えている。未来は切り拓くイ メージが充満してたのだと思…

静かな5月だった

またも緊急事態宣言で、いくつかの予定が 取り止めになり、この5月はまれにみるな にもない日々だった。家に居るのが好きで も、ひとりでいることも平気でも、ちょっ と重い感じ。映画も読書もここまで立て続 けではいささか飽きる。版画も思うように うまく…

三浦しをん「舟を編む」

いまさら「舟を編む」である、ようやく読 んだ。わりと早く結婚して、わりとスムー ズに辞書が作られていく、辞書を作るとて つもない苦労もあまり伝わってこない。ち ょっと意外。お得意の仕事小説なので、辞 書を作るという特殊な仕事を垣間見る楽し さは…

ヒッチコック「知りすぎていた男」再見

むかし、ヒッチコックのリバイバル上映で 4、5本来たことがあって、それで映画館 ではじめてヒッチコックを見たのだがその 内の1本が「知りすぎていた男」、題名が 知りすぎた男でなく知りすぎていた男なの でちょっと変な感じ、原題はThe Man Who Knew To…

この3点(7)たむらしげる

むかし、福音館書店のこどもともシリーズ で、たむらしげるの時は2冊買って、1冊 はこどもに、1冊は保管用としてた時があ った。そのうち、ファンタスマゴリアがで て、そのゲームというかCDーROMを買っ たら、版画が付いてきた。額装。 その未知の惑星は探…

この3点(6)山本潤子

山本潤子さんのコンサートには一度しか行 っていない。赤い鳥もハイファイセットも ソロもいろんな歌手とのジョイントもCD等 で聴くのみ。うつくしい歌声、絶品。 すごいなと思ったのは拓郎や泉谷のチャリ ティライブの練習風景の映像でバックコー ラスのハ…

木版26:市之倉の坂2

先の「市之倉の坂」がいまひとつものたり ない感があり、このように更新した。 夕陽のつもり。300×450 3版2色刷

アンディ・ガルシア「ファミリーズ・シークレット 秘密を抱えた家族」

期待もなくただコメディで、知ってるアン ディ・ガルシアだから見た。 これが意外とおもしろかった、意外とよく できていた。拾い物。 ガルシアは「運び屋」とか「オーシャンズ」 シリーズ、ゴッドファーザーⅢのいかにも というような役どころ、それがコメデ…

ヘレナ・ボナム=カーター「オーシャンズ8」

もう一本、コメディを。 ジョージ・クルーニーのオーシャンズシリ ーズのスピンオフ映画、こちらは女性だけ での犯罪コメディ、華やかな女優を集めて、 豪華に楽しめる。 サンドラ・ブロック、ケ イト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、 そして好きなヘレ…

宮本輝「錦繍」再読

先に、井上ひさし「十二人の手紙」を再読 し、こういう書簡小説ならやっぱりこれと 思ったが、宮本輝は30冊くらい持っていた 文庫本をすべて処分してきたので手元にな くブックオフで買ってきて読んだ、再読。 本当にやりとりしたような手紙ではない、 こん…

メグ・ライアン「恋人たちの予感」再見

こういうときはコメディを見る。 ぐだぐだしゃべっているばかりとのイメー ジだったが、久しぶりに見たところやっぱ りそうだった。インテリ男とキャリア女が 一番に話をしたいのは君だと気付く、ぐだ ぐだ話のできる相手が大事との結論。 メグ・ライアンの…

吉田修一「路(ルウ)」

台湾新幹線の開発竣工開通までのドラマだ と思っていたらそういう話ではなかった。 それに絡む4組の人間模様、恋愛であり、 家族であり、親友であり、悪人がひとりも でてこないいわゆるいい話で読ませる。 台湾へはいちど行ったことがあるが、確か に猥雑…

ジョン・フォード「わが谷は緑なりき」

1941年アメリカ映画。この年に戦意高揚映 画だけでなく、19世紀末のイギリス・ウェ ールズの炭坑町の伝統と信仰を守る家族の 物語を端正に綴る、そういう映画を撮って いる。 劇的なハッピーエンドはない、およそ世の 中に流され負けていく、けれどもこの一…

原田マハ「ロマンシェ」

パリのリトグラフ工房idemは、芸術新潮の 記事で知っていた。そこを舞台に、若い画 家志望とハードボイルド作家とあれこれが 軽妙にコミカルにはじけて活躍する、原田 マハお得意のアート小説。これはこれでい いでしょう。これを機に東京ステーション ギャ…

「ダブル・ジョパディー」

また緊急事態宣言が出て、プールは休業、 ジムはもうずっと休業、会合も中止、テレビやwebのニュースはうんざり、日常のルーティーンの家事をきちんとやって、趣味のことをこつこつやって、散歩に行って、買い物行って、テレビで映画を見て、本を読んで、こ…

「LION 25年目のただいま」

インドで5歳のときに迷子となり家族と離 れ離れになってしまい、養育院で運よくオ ーストリアの夫婦の養子となるが、30歳の ときに実母や兄に会いに行こうと企み、イ ンドを再訪する話である。 ドラマとしてはありそうな話なのだが、実 話を基に映画化されて…

カズオ・イシグロ「クララとお日さま」

ミーハーなつもりはないのだが、カズオ・ イシグロの受賞第一作が出たので読んだ。 AI搭載の人型ロボットとある家族との交流 の話なのだがいくつもの流れがありじっく り読ませる。人間の心を慮るロボットは好 感を持たれ、かつ敵意を抱かれる、家族の 中で…

「みじかくも美しく燃え」

1967年のスウェーデン映画。美しい純愛 映画だと当時の中学か、あるいは高校の時 に2番館上映で知ったのか、そういうイメー ジの映画である。 さて、50余年経って、これは道行の映画 だ、純愛映画だなんてとんでもない、先の 見通しのない男のふがいなさ、…

加藤典洋「村上春樹は、むずかしい」

加藤典洋の3冊目。 「村上春樹はむずかしい」はむずかしい。 村上春樹の作風が変化していることはわか っていて、そういうことかとなるほどなあ と思うけど、読書の喜びとしてはとくに必 要ではないなあ。でもときにひとつの作品 で世界を把握することがあ…

ニコール・キッドマン「リピーテッド」

知らない映画だったが、ニコール・キッド マンとコリン・ファースなので見てみた。 小説の原作があるらしく、アイデアとしてはおもしろい。ニコールとコリンとどっちもどっちなのだが、やはり母は強し、息子がいることがわかればそれでよしというのもどうな…

ヴィゴ・モーテンセン「はじまりへの旅」

やっかいな映画を見てしまった。 親が子供をどう育てるか、どんな環境下に 置くか、高度資本主義社会から離れ森の中 で生活し、でも文化教養は高く。 父親も子供に意見を云わせ、考えを聞き入 れることもして独裁、抑圧とはいえないが、 それでもそれが社会…

松家仁之「泡」

新作を期待している数少ない作家の新刊が 出たので早速読んだ。学校や世間と折り合 えない高校二年の青年が、遠くの叔父さん の店に身を寄せて自己を確立していく話な のだと思う。 この青年の心情はわたしのあの頃と共有感 があり自分事のように読んだ。そ…

ヒラリー・スワンク「さよならの代わりに」

難病ALSに侵された女性が、介護人との 交流により、生ききる力を得て、一方す さんだ生活をしていた介護人の大学生が 成長していく物語。フランス映画「最後 のふたり」を思い出す。 大学生はエミー・ロッサム、なんと映画 「オペラ座の怪人」のクリスティー…

ルアンヌ・エメラ「エール!」

先日の「ラ・ブーム」がフランスの女子高 生の話であったが、これも同じ話なのにま るで雰囲気が違う、あたりまえのこと。 酪農の田舎町の女の子が歌うことに目覚め 旅立つ話、主演のルアンヌ・エメラがいい、 顔がまだ決まっていない、可愛くもありご く普…

126:2021年のカーネーション

5連休も関係はないけれど、休日はあまり 外出をしないのでやれやれという感じ。 こいのぼり、朝顔の準備、季節はめぐる。 カーネーションの絵を描いた。

井上ひさし「十二人の手紙」再読

最近この本がリバイバルで売れているとい うのでブックオフで買って読んだ。じつは むかし井上ひさしは文庫で数十冊持ってい たが処分してしまったのでやむなく。だか ら再読。手紙だけで書かれた小説なので、 宮本輝の「錦繍」と同じだが(宮本輝もた くさ…

ソフィ―・マルソー「ラ・ブーム」

ここずっと映画ばかり見ている、もちろん テレビで。普通なら見ないようなものまで 見ることがある、例えばこれ。1980年の 大ヒット作というので、ソフィの映画の役 は14歳わたしは26歳、12年若い世代のフラ ンスのキャンパスライフ映画。まあなんと いうか…

J・K・シモンズ「セッション」

J・K・シモンズという俳優がアカデミー 助演男優賞を取ったという映画、作品賞 候補にも。 厳しい指導者、パワハラというかアカハ ラというか罵倒しながら教育していく。 さらに報復の仕打ちまでもあり、ところ が最後に歓喜の場面が用意されている。 芸術家…

加藤典洋「大きな字で書くこと」

哲学や思想や評論はむつかしくて読めない が、そういうある分野で成した人のエッセ イを読むのはなかなか楽しい。鶴見俊輔、 吉本隆明、それに建築家のエッセイも好き だ。評論家の加藤典洋の最後のエッセイと いうので読んでみた。なかなか含蓄のある こと…