1941年アメリカ映画。この年に戦意高揚映
画だけでなく、19世紀末のイギリス・ウェ
ールズの炭坑町の伝統と信仰を守る家族の
物語を端正に綴る、そういう映画を撮って
いる。
劇的なハッピーエンドはない、およそ世の
中に流され負けていく、けれどもこの一家
には愛情と善意と奉仕がある。家父長制で
はある、女は意志を持てない、労組は単純
に社会主義である等今から見れば封建的な
ところはある、そういう時代である。でも
普遍的なのものはいまでも観るものに十分
伝わってくる。そういう古くならない映画
である。女は意志を持てないと書いたが母
親が皆の前で訴える、夫のため子供のため
にしかと主張する、良し。
わたしにとってウェールズはよくわからな
い地域である。スコットランドやアイルラ
ンドはイングランドとの軋轢等もいささか
知っている、しかしウェールズはわからな
い。ジョン・フォードの詩情というのか、
それが発揮された映画、見事。