吉田修一「路(ルウ)」

台湾新幹線の開発竣工開通までのドラマだ

と思っていたらそういう話ではなかった。

それに絡む4組の人間模様、恋愛であり、

家族であり、親友であり、悪人がひとりも

でてこないいわゆるいい話で読ませる。

台湾へはいちど行ったことがあるが、確か

に猥雑さとゆったりさと誠実さが混ざった

好感を持った台北の想い出を思い出す。

そういう記憶とこの物語が交ざって気持ち

のよい読書となった。いい話すぎるとはこ

こでは云わない。

路 (文春文庫)

路 (文春文庫)