小津安二郎「晩春」

1949年作品、小津が初めて原節子と組ん

だ作品。父娘の嫁に出す話、出てくる俳

優はみんな話に意味を持つ、余分なとこ

ろがほとんどない。普通、父娘で亡母の

思い出話をするとか、墓参に行くとか、

父の助手との淡い恋愛とかあってもおか

しくないのに、ただ嫁に出すだけ。

笠智衆の表情がいい、含羞のある笑顔が

うまい、(ほんとに後妻をもらうのか)

なにか意味深な相槌だぞと思いつつ、嘘

をついたところは絶妙。

ほかの作品で岡田茉莉子がよかったよう

に、ここでは月丘夢路がいい、原節子

負けない。

話はシンプル、ディテールにこだわる小

津のディテールを見て楽しむ。