小津安二郎「麦秋」

小津映画9本目、1951年作品。

長男の妹が原節子(役では28才)、娘

の縁談と嫁入りの話なのに両親は権限が

ない、後ろに引いている。家父長制で家

長を長男(笠智衆)が継いでいるのだろ

う、家の決定権を持っている様子。

ここで笠智衆は兄、菅井一郎が父でなん

だかわかりにくい、菅井の方が現代的な

顔をしていて若くも見える。

原節子は現代的、現代の思考をしている、

キャリアウーマンでもある、友人の淡島

千景とのやりとりも現代的。子供もいい、

叱りきらないところもいい。

ラストでほんとなら母(東山千栄子)と

しみじみ話すだろうところを兄嫁(三宅

邦子)と話し合う、最後に後押しするの

は義姉というところもいい(お母さん可

哀そうだけど)。

最後に田舎へ帰郷した両親の会話で終わ

る、そうか夫婦で作りあげた家族が離れ

離れになる(次男の戦死を含めて)その

夫婦の歴史を総括している。

傑作。