小津安二郎「秋日和」

1960年作品。なんだか小津に馴染ん

できた、なにか癖になるといおうか。

たわいもない話である、男三人組の昭和、

しかも高度成長目前のおっとり社会人、

妻をあしらい、あしらわれ、娘も会社の

部下女性も嫁にやることに熱意を持ち、

ああこういう雰囲気だったと居なかった

のになぜか懐かしむ。

男たちはぶっきらぼうな(わざと)セリ

フなのに対して、女たちも同じなのだが、

追って有名女優になる若き女優たちのそ

れぞれの個性が垣間見えるというのはお

もしろい、これが小津映画か。

今回は岡田茉莉子、最初は司葉子の盛り

立て役かと思っていたら大活躍、絶妙絶

品である。難解な吉田喜重を支える肝の

座った(というイメージ)岡田茉莉子

ここにもあった。

それにしても脇の女優たちがいい、沢村

貞子、三宅邦子、高橋とよ、そうだ、あ

の少年もちらっと出演。

家の中の光差す揺らぎはなんだろう、こ

こは原節子の揺らぎということか、スト

レートすぎるか。