図書館の新着のところでふと目に留まっ
たのは、四方田犬彦ではなく拓郎かと思
ったからだ。今はまだ人生を語らずとい
う好きな曲があり、同名だと一瞬思った
のだが違っていた。つい借りてきた。
四方田犬彦は別に読者ではないが、かつ
て「ハイスクール1968」と「歳月の
鉛」という自伝的な小説を読んだことが
あり同世代的共感と反発があったのだが、
これは老年になった彼の思索の本、70才。
まあ、むつかしくて流し読みなのだが、
最後の方で信仰について、死についてと
いう章があり、やっぱりここは通らない
といけないのだなと合点する。
ひとつ。
「時間は過去から未来へと進んでいくも
のではない。未来から到来するものである。」
これは川の流れの未来は上流か下流かと
いう問いと似ている。下流だ、下方へ流
れていくのだとずっと思ってきたが、そ
うではなく未来は視えない上流にあると
思うとなにかうれしい。