永田和弘「あの胸が岬のように遠かった」

なんとなくわかる60年代の典型的な青春。
なんと赤裸々な青春記なんだろう。
NHKのドキュメンタリで永田和宏のこの
本の話を見たのだが、その後それのドラ
マ化が放送され、さすがにそれは見てい
ないのだが、ちょっと気になって原作本
を読んだ。
京大名誉教授エリートの青春かと思って
いたが、まだまだそういう時代なのか中
流とはいいきれない家庭に育ち、大学院
に2度も落ち、未来に悲観し、挫折もし、
一方河野裕子も同じように抱えるものが
あり、二人とも順風満帆とはいえない青
春があったのだということがわかる。
成功者が振り返る青春は自慢話か、わた
しもこんなにおバカだったんだよという
ものであるが、傷つけあったこともさら
けだして痛い。
いろいろあった出来事がすべて蓄積とな
ったと振り返る、そういう回顧、そうい
う結末のいい話は好みではないのだが、
これは率直に感動してしまったと小声で
白状する。

ktoshi.hatenablog.com