テレビ欄を見ていたらまだ去年に公開した
ばかりの「スパイの妻」を放映するという
のであわてて見た。なぜだと思ったらそも
そもNHKのドラマでありそれを劇場公開し
たようで、それがヴェネチアで監督賞を取
ってしまったということらしい。
さて、戦争、時代に巻き込まれ翻弄される
夫婦の話ではないのだろう。国家機密があ
きらかに間違い、非人道的な悪であること
を知ったときにどうするか、長い目で見た
ときの国益とはなにかという話なのだろう。
夫はコスモポリタンとして見なかったこと
にするわけにはいかないと云い、妻は夫が
信じるものなら国に逆らってもついていく
と云う。その妻の覚悟の映画だ。
もっと情緒的に描くことができただろう、
憲兵の妻への恋慕、夫婦への圧力等、でも
煽ることなくわりと淡々に描かれる。
機密を持ち出した効果はあったのだろうか、
10年も再会できなかった妻はそれでよかっ
たのだろうか、社員や家の執事たちは大丈
夫だったのだろうか。トータルとして意味
があったのだろうか。
戦争に行き戦死した山中貞雄監督の映画を
見る場面がある、やっぱり戦争に翻弄され
た人たちの映画なのだろう。
やっぱり蒼井優かな。