平野啓一郎の「ある男」は読んだのだが、
その映画化、2022年石川慶監督作品。
重厚な中身の詰まった平野啓一郎の小説
を映画にするのは大変だと思うが、さす
が重くどっしりした映画となっていた。
親子、夫婦の関係を突きつめていくとや
はり別人となる、親のなにを引きずるの
か、配偶者のなにをわかりあうのか、そ
もそも本人(自分)はなにものなのか、
を考えてしまう。妻夫木は好演、この複
雑な人格を丸く収めてしまう度量なのか
要領なのか彼の甘いマスクがその複雑さ
を混乱させる。いや、出演者みんなが不
穏さを抱えている、柄本明怪演。