ようやく読み終えた。
第1章の友達という章がなかなか読み進
めない、全体像を知らないので話の先が
読めない。ところが第2章から一気に話
が動き出す。学者の兄と弟、その家族、
気難しい兄は知識人としての苦悩と不
安感を抱えている。いまでいうならな
んらかの病名が付くだろう、でも明治
時代だからただ孤独なエリートとして、
妻、弟妹、両親、友人らとの関係にも
悩むのである。
たしかにどうでもいいような苦悩だと
もいえる、でも日本の近代化の中でそ
の苦悩は現代にも通じる、だから今も
読み継がれているのだということがわ
かる。
最後に友人のHさんの長い手紙が紹介
される。ちょうど次作「こころ」と同
じように。
ちょっと深いところで感じ入る、じわ
っとくる物語だった。
あと2冊、くじけた「虞美人草」があ
るから3冊かな。