2022-04-09 黒川創「ウィーン近郊」 本 「鶴見俊輔伝」で読んだことがある黒川 創の小説をはじめて読んだ。 ウィーンで客死した男の人生を静かに端 正に描く。葬儀その他の始末をする妹の 心情と兄の追想から描きだすとともに、 オーストリア大使館の領事や教会の人た ち、さらに同居し支え合っていた女性か ら兄の輪郭がわかってくる。とくになに もおこらない、普通の人生であったとも いえる、そこに「第三の男」やエゴン・ シーレや杉原千畝の固有名詞が絡み合っ て丁寧に読ませてくれる。 ほかの作品も読んでみよう。 ウィーン近郊 作者:黒川 創 新潮社 Amazon ktoshi.hatenablog.com