黒川創「ウィーン近郊」

鶴見俊輔伝」で読んだことがある黒川

創の小説をはじめて読んだ。

ウィーンで客死した男の人生を静かに端

正に描く。葬儀その他の始末をする妹の

心情と兄の追想から描きだすとともに、

オーストリア大使館の領事や教会の人た

ち、さらに同居し支え合っていた女性か

ら兄の輪郭がわかってくる。とくになに

もおこらない、普通の人生であったとも

いえる、そこに「第三の男」やエゴン・

シーレや杉原千畝の固有名詞が絡み合っ

て丁寧に読ませてくれる。

ほかの作品も読んでみよう。

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