家にまだステレオセットがなかった頃、
ポータブルプレーヤーというのがあって
十枚くらいのレコード盤もあった。
そのなかの一枚が、小澤征爾の軽クラシ
ック集で、見開きの解説には小澤征爾の
単身オートバイでヨーロッパ修行に行き
実力者になってきたとの紹介文があり、
いたく感動した少年のわたしだった。音
楽よりも人物に興味を持った。
その後、彼の本も読み、毎週見ていた
「題名のない音楽会」や「オーケストラ
がやってきた」にときどき出演していた。
そして、ボストン交響楽団の常任指揮者、
ウィーン国立歌劇場その他、サイトウキ
ネンの総監督ほか五臓六腑の大活躍。
その雲の上の人が村上春樹と対談しなん
ともチャーミングでもあったりして。ま
さに世界の巨人だった。合掌。