高村薫「我らが少女A」再読

ちょっと重いものでも読もうと、そうい

えばストーリー重視で読んだ「我らが少

女A」をきちんと読もうと再読。時間が

かかりました。

なんといっても合田雄一郎、でも警察大

学校の先生となっていて現場にいないの

で、直接事件の解決をするわけではない、

事件を解決する話でもない。

そうだった、事件が起こり、それに絡ん

だ、いや絡まずともちいさな接触があっ

た人たちに大小それぞれ影響を受ける、

それで人生が変わってしまう人がいて、

悔いを残してしまう人がいて、わけがわ

からないけど小さな闇を抱えてしまう人

がいる、そういうことを書こうとしてい

るのだ、この小説は。

圧倒的な描写、精緻な構成、ただただ深

く読んでいくだけ。

犯人は捕まらない、いやわからずじまい、

もう死んでいるかもしれない。残された

家族は友人は関係者は、すこしづつ自分

を取り戻し、ラストにささやかなメッセ

ージの連鎖がある。それは読者へのメッ

セージであり、ちいさな暖かさを手にす

る贈り物だ。

そうだ、はじめて読んだ時もこれでぐっ

と来たのだった、と思い出した。

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