佐藤賢一「最終飛行」

サン・テグジュペリとは名前からして孤高

の作家のイメージがある。「星の王子様」

以外の作品を読んだことがないが、出撃後

消息不明になった飛行士として知っている

けれど人物はまったく知らなかった。ナチ

スによるパリ陥落から反撃までの彼の行動

と人物像が意外なものであることを描いて

驚く。貴族出身で大柄で金持ちで女好きで

傲慢で、でも愛国者でかつ現場主義者であ

ること、パリ陥落後のフランスの勢力図に

ついてはヴィシー政府のこととかド・ゴー

ルとレジスタンスとかなんとなく知ってい

たが、より以上に複雑でフランス人同士で

も戦々恐々としていたことがわかった。

「星の王子様」が書かれたいきさつもあり、

深い意味がそこにあることもすこしわかった。