大林宣彦「海辺の映画館ーキネマの玉手箱ー」

大林監督の遺作。「花筐」という作品が最

後のつもりだったが、まだ撮れるという強

い意志がこの「海辺の映画館」を創る。

後期の作品群はほとんど見ていないが、こ

の映画はオープニングに「A MOVIE」と

標記される。いつかA MOVIEをやめてし

まったのに復活している、いつからか。

マジックリアリズムというのだろうか、め

くるめく映像、トーキーからシュールまで、

ほんとに映画の玉手箱である、第一作「HO

USE」を思い出す。

戦争のかたちを描く、個々の人々の戦争へ

の関わりを描く、それらを観ている主人公

達も、そしてわたしたちも映画の中に入っ

ていく。なんとも奇想天外さに冷ややかに

見始めたのだがいつのまにか3時間近いの

に見続けてしまった。家人が好きな細田

彦が快演怪演。

傑作かどうかはよくわからない、ただこう

いう映画もあっていい、つくられていい。

誰にもいらないとは云わせない。