吉永小百合「ふしぎな岬の物語」

虹の岬の喫茶店
とくに見たいわけではなかったがチケット
があったのでひとりでなんばパークスシネ
マで見た。やっぱり吉永小百合のための映
画だった。こういういいひとの映画はよく
ない、こんなんで感動させてはいけないと
思いながら、ふと、「ふしぎな」とタイト
ルにあるように、これはなにか意味がある
映画なのかなと考えた。たしかに全編誰か
と別れる話だ、両親と別れ、夫と別れ、鶴
瓶と別れ、笹野と別れ、阿倍寛も親と別れ、
友達先輩とも別れ、竹内結子も夫と別れ、
昇太は妻と別れる。もっとあったか。
大切な夫の絵が不思議な女の子によって運
び出される、それを立ち尽くして見ている
そのシーンの不思議さ。それで火事を免れ
たと云うならラストシーンで絵が戻ってく
るはずなのにそれがない。あれはなんだっ
たんだろう、あの女の子は吉永小百合だっ
たのか、なんだったのか。
こんな時代に、あの吉永小百合がプロデュ
ーサーとして単純ないい話だね的な映画を
作るわけがない、ふしぎな映画だった。