読む直す村上春樹11「ねじまき鳥クロニクル」

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編
ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編
ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉―鳥刺し男編
もう17年も前に読んだ小説なのか、まだ最近のように思って
いたが。94年4月に2冊同時発売、久々の大作ということで
期待満々だったのに、さてと読んだらなんだか違う、これは村
上春樹が大きな転換を図ったんだ、もうあんなポップな小説に
は戻れないんだと納得したことを思い出す。でもこの2冊で終
わりなのかと違和感を持っていたら、やっぱり95年8月に第
3巻が。これもすぐに買って読む。これがまたもやわけがわか
らない。私の中ではこれが一番苦手な小説だと思っていた。
さて、そんな理由で、読み直すシリーズでも、この本に手を出
すのが億劫で一番最後になってしまった。で、いやいや読み始
めたら、おお、こんな話だったか、なかなかいけるじゃないか。
ところが第3巻にくると、あれあれよくわからない展開になっ
てきた。そしてなんだか煮え切らないままに大団円ではなく終
ってしまった。そうなんだ。やはりこの作品から世界観が一気
に拡がって、村上春樹は孤高の作家になった。