2023年山田洋次作品。
こういう古めかしいホームドラマに納得
できなくて、それなのに小津安二郎を面
白いと思うのは何故なんだろう。やはり
時代を経てきた重さということだろうか。
失われつつある人情や助け合いみたいな
ものを残したいというのはわかる、でも
それがところどころずれていると思える。
大手車メーカの人事部長が幼なじみのリ
ストラをするのにおおいに悩む、私的に
愚痴を聞く、ありえない。そんな人は人
事部長になれたはずがない、そういうの
をいい人とはいわない。そういうファン
タジーもいいけれどなんだかなあ。
昔、初期の寅さんが苦手だった。でも時
代を経てあの古い下町風情、フーテン稼
業が時代を残す役割を果たしている、昔
はよかったではない、そういう昔があっ
たということである。
やっぱりこれは今をちらばめているけど
(うまいなと思うところある)、今を描
いていない、最初から昔はよかった的映
画だった。
仕事を受けないんだろう、その点で松坂
慶子はとてもエライと思うんだけど。