サリンジャー「フラニーとズーイ」再々読

ギフテッドという言葉を知った。彼らの

問題、社会との折り合い等いいことばか

りでもないことがオープンになってきた。

ラニ―とズーイおよびその兄弟たちも

そういうことだろう。末妹フラニ―が追

い詰められて、ちいさな宗教書に救い、

希望を求めるのだが、それはそれでよし

として、兄ズーイが妹フラニ―の力にな

ろうとする。しかしズーイも妹と同じ天

才なのでその話は自分の云いたいことば

かり、この長い饒舌な語りかけがフラニ

ーを解きほぐすことができるとは思えな

い。そういういらだちと宗教的な話でど

うなるかと思っていたら(覚えていたけ

れど)太ったおばさんの話をしてささや

かな光明をもたらす。

再読したときはここはいささか感動した

けれど、今回はそうはならなかった。

救ってやれるのは同病のズーイではなく、

やっぱり母親、チキンスープのママなん

じゃないかなと思えた。いつか太ったお

ばさんレベルのちいさな希望をママは無

自覚につぶやくんじゃないかと。

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