五社英雄「女殺油地獄」

1992年作品。樋口可南子藤谷美和子

堤真一、彼は若い、でももう顔は出来上

がっている、野田秀樹の「キル」より前

のこと。でもダメ男とは思えなかった。

さて、近松門左衛門作品、心中天網島

曽根崎心中は心中もので映画と文楽で見

たことがあるが、この女殺油地獄は心中

ではなかった、初見。

堤真一がダメ男なのでそういう話かと思

っていたら、樋口可南子が女の情念を表

わして(藤谷美和子もそうなんだけど)

どっちもどっち、心中かと思っていたら

油地獄だった。ふたりの感情の揺れは面

白いのだが、ここは五社英雄じゃなく、

もっと丁寧な演出があったらよかったの

に。物語は人間の弱さ、欲望をうまく描

き、300年も前の話なのにまったく現代

のことであった。文楽で見てみたい。