「チャリング・クロス街84番地」

ちょっと書棚の探し物をしていて見つけ

だした文庫。奥付から1983年に買って読

んだらしい、気に入っていて処分されず

残していた。つい再読。

そうだった、気持ちのいい、心躍る往復

書簡集。ニューヨークに住むライターの

女性がロンドンの古書店に古書を注文し

て入手するそのやりとりが心豊かにする。

戦後すぐの戦勝国アメリカと勝ったけれ

ど被害甚大だったイギリスとの経済格差

がありつつも、ニューヨークの女性はイ

ギリスとイギリス文化に敬意を払い、驕

らず謙虚に、造りの確かな書物を愛する。

わたしには登場する作家、詩人等をまる

で知らないが、イギリスに根付いた文化、

思想、歴史の奥深さは想像でき、それを

共有する人たちを好ましく思う。

20年にわたって交流が続く幸福感のある

物語だった。嬉しかった。