1970年にアカデミー作品賞を取った作品。
1974年頃から映画を見始めキネ旬も読み
はじめ、なぜこの映画がニューシネマ全盛
期に、反体制の空気の時代に作られ評価さ
れたのかずっと疑問に思ってきた。
ようやく見ることができたのだが、なかな
か主体がどこにあるのかわからない映画だ
った。たしかにパットン将軍は強いアメリ
カを誇示したし、ナチスを撃ち破ったのだ
が、それだけではないなにかを見せる。
パットンは人類とは戦争の歴史であること
を学び、過去の偉大な戦歴を愛する軍人で、
政治や国益よりただ戦いに挑むことが好き
な軍人だった。しかしこれがしばしば災い
したようで、臆病な兵士を殴打して降格さ
せられたりしている。(このエピソードは
衝撃であった。日本では部下の兵士を殴打
することは日常であり、なぜアメリカでは
それは降格させられる事件でありかつ兵士
に謝罪するのである。何故だ。)
しかし、パットンが偏狭な軍人として描か
れているわけではない、もちろん英雄礼賛
でもない、ただこういう人物がいたのだと
いう映画としか思えない。
ちなみにフランシス・フォード・コッポラ
脚本(共同)なのだそうだ、なるほどなあ、
骨太の映画だった。
主演男優賞を拒否したジョージ・C・スコ
ットはパットン本人としか思えない、演技
とは思えなかった。