どうしてこういう映画が、スピルバーグ監
でつくれるのか。政治的な映画なのだが、
実は政治的ではないのだろう。ここにある
のは右だ左だではなく、自由、報道のあり
かたを示しており、体制反体制とは別のレ
ベルのことをいっているのだ。国民に知ら
せず隠しているものもきちんと公表する、
あの毎日新聞記者が葬られたのとは大違い
のマスコミの志し、司法の判断。しかもト
ムハンクスが押しまくるのはわかるが、メ
リルストリープ扮する社主の葛藤、孤独、
決断、とくにトップの孤独感が素晴らしい。
さらに当時の女性の立場も描き、その視点
もうまく描いている。
と、しっかりほめておいて、でもちょっと
よくできすぎている、こんなうまくアメリ
カは動いているのか、やっぱりアメリカだ
なあというプロパガンダなんじゃないか、
と冷静になる。