2001年の作品だから、6年も経ったのか。上下巻で
4000円近くする単行本の美本をブックオフで2冊で
210円で入手し、約2週間かかって読んだ。
いつまでも終わらない物語は、最後まで後味が悪く、
いつもの宮部みゆきらしさがなかった。
それぐらい今までにない形の犯罪だったということだろうか。
登場人物が重層的に展開し、特に魅力的だった前畑滋子が、
近刊の「楽園」で再登場したらしいが、それはよくわかる。
以前、テレビで映画「模倣犯」を見て、つまらなくて、
また主役にリアリティがなくて、途中でやめてしまったこと
を思い出した。大作としては「火車」「理由」「模倣犯」と
いうイメージのある宮部みゆきだが、ここまで描きこむのが
作品としていいのかはよくわからない、そぎおとすことも
大事なのではないかとも思う。(210)