辻原登「熊野でプルーストを読む」

辻原登の本を中心としたエッセイ集、お

よび昔のこと、父のこと等を思い出すエ

ッセイも含む。

プルーストのことを書いているわけでは

ない、でもむつかしい、博覧強記である、

なんとなく彼の小説のバックボーンを垣

間見ることとなった。

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荻上直子「トイレット」再見

2010年日本映画。

全編をカナダで撮った、もたいまさこ

外はすべてカナダ人か。母を亡くした三

兄弟(兄弟妹)と言葉がわからない祖母

との家族の交流、再生。もたいまさこ

まったくしゃべらない、二言だけか、見

事というか、楽というか。

タイトルがトイレットというのは内容に

即していないように思える、でもいいか。

ひきこもりの長男がスカートを縫って穿

く、女装とかじゃなく、ただ穿きたかっ

た、ピアノを弾くときに穿きたかったと

言う。閉じていたこころを開く、拓く、

啓く。

モーリー、クール!

 

と、ここまで書いて、過去記事を検索し

たら、12年前に見ていた、ショックで

ある、まったく覚えていない、かすりも

しなかった。呆然、茫然。

 

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別冊太陽「谷崎潤一郎」

谷崎潤一郎も一応一区切りつけて、この

ムックを読む。

江戸、戦争、阪神間、女性、人となりを

俯瞰する。わがままに自分に正直に生き

た人だった、戦時にも彼なりの抵抗もし

た、現代なら炎上しただろう。

大谷崎らしい大人物だったと理解した。

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ヨーロッパ企画「リバー、流れないでよ」

2023年、ヨロキ「ドロステのはてで

僕ら」に続く第2弾映画。

「恋はデジャ・ブ」のバリエーションだ

と思うが、解決のラストがタイムマシン

とはこれはない、それに雪はどうなった。

とは言いながらヨロキのあの雰囲気をぐ

だぐだと楽しむ、楽しみました。

もうすこし短くて一気に解決させた方が

よかったな。前作のほうが好きかな。

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きたやまおさむ「むなしさの味わい方」

岩波新書の新刊、北山修の一般人向けの

本。なんとなく北山修きたやまおさむ

というと手に取っていたが、これはちょ

っと距離があった。「むなしさ」という

感情がわたしにはピンとこない、わりと

冷淡に思い悩まないようにしているから

だろう。

わたしにとっては、むなしさよりも、悔

恨、無念、わかりやすく云えば「思い残

す」というものだろう。それらがわたし

の背中を支え前を向かせている。

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カトリーヌ・ドヌーヴ「シェルブールの雨傘」再見

1964年のフランス・西ドイツ映画

ミシェル・ルグラン音楽の全編踊らない

ミュージカル(オペラ?)であるが、見

たのは高校1年の学校の体育館だった。

なんだったんだろう「シェルブールの雨

傘」と別の時に「戦艦ポチョムキン」を

見たことだけを覚えている。

はじめて全編会話が歌というのに驚いた

が、ドヌーヴ役が17才だというセリフ

が出てきて、全員がエ~~と大声になっ

たことをよく覚えている。

そしてラストシーンのせつなさ、再会し

た二人のそれぞれの子供が同じ名前だっ

たというのにしびれた、当時は。

記憶以上にシンプルな映画だった。

ミシェル・ルグランを知って、彼のジャ

ズアルバムを1枚買ったのだった。