この本で惹きこまれたのはアメリカ映画
の赤狩りについてである。
映画には政治や時代が深く入り込んでい
ることがよくわかる。赤狩りには2回山
場があり、マッカーシーは2回目の主役
である。俳優や監督脚本家製作者等が吊
るし上げられ、犯罪人とさせられ、また
転向、裏切りがあったことも概要はおよ
そ知っているが詳細はよく知らない、や
はり煽る政治家より国民大衆が支持した
ことが原動力になっていることはわかる。
とくに転向したドミトリク、裏切ったエ
リア・カザンについて解説している。
ドミニリクは、わたしも知らないので、
このブログで取り上げた「折れた槍」も
「ワーロック」にも監督名を出していな
い。転向後に作られたこの2作は、普通
の西部劇とは違う陰影や深いなにかがあ
るような映画となっており、彼のその苦
い体験が奥にあることを指摘する。
エリア・サガンも同様である、「波止場」
や「エデンの東」を見ればなるほどと思
わせる。
転向者が悪で、非転向者が善だと二択で
決めつけない、人の内心はもっと複雑で
強くかつ弱いものだから。
政治家の声よりも、やっぱり煽るマスメ
ディア、大衆がもっとも怖いとつくづく
思う。