谷川俊太郎・尾崎真理子「詩人なんて呼ばれて」

詩人なんて呼ばれて
谷川俊太郎の詩と人生の全貌を、評伝とロ
ングインタビューで解き明かす。
2010/09/28の山田馨共著「ぼくはこうや
って詩を書いてきた」で同じように詩と人
生を語っているが、これは寄り添ってきた
盟友の編集者が相手なので暖かい感じだっ
た。しかしこちらは読売新聞の記者として
深く尊敬、共鳴、敬意を持ちながらも、時
として厳しく突っ込んでいく、谷川は真摯
に応えていく、スリリングな対話となって
いる。谷川の詩の世界(詩壇?)における
異端さ、売れること、メディアに出ること
への批判はいささか驚いた。一方で、谷川
も自覚しているが、わかりやすいものだけ
が受け入れられて、難解なものが排除、除
外されていくことの怖さを感じる。むつか
しいことだ。 
谷川俊太郎はわがままで女好きで非個人的
関係(@河合隼雄)で、見た目での順風満
帆の人生ではなく、いろんなことを乗り越
えてきた人だとよくわかった。