2017-12-05 松家仁之「光の犬」 本 ゆっくりと丁寧に読んだ。 北海道の家族の歴史、大きな事件もないが 普通の生活のなかの喜びや悲しみが静かに 語られる。祖母である産婆によって孫が生 まれるとき、そして、父と姉妹と孫の亡く なるときの描写からこれは生と死の物語な のだとわかる。「よくいらっしゃいました」 には強い希望がある、そして最後に「光の 犬」の意味がわかる。 物語の中で歩と始と一維は確かに生きて、 私と交感した、そういう静謐な感情の揺ら ぎを堪能した。