った、カンヌでもなにかの賞を取った。
見たいと思っていたがようやく見た。
先入観なく、よくある不倫の話かと思っ
たところ、画面替わりは大胆、衝撃的に
展開する、この全編を通して不穏の塊、
驚く。
れたオルガン、白いワイシャツ黒ズボン、
白い作業着の中の真っ赤なTシャツ、河
原での4人の写真8年後の写真、すべてが
ざわざわする。
厳しいものを見た。
2014年以来のシーナである。
新聞の書評に載っていたのを図書館で見
つけ読んでみた。シーナも喜寿である、
階段から落ちて骨折、白内障手術、車免
許返納、そしてコロナ感染。
昔、彼を発見した時、わたしは20代でシ
ーナはその後会社を辞めベストセラー作
なりまばゆいばかりであった。
それでもいつか申し訳ないが飽きがきて
本の雑誌の定期購読を止め新刊も読まな
くなる。
それでいつのまにか喜寿、なんとわたし
と10才しか違わないことにいまさら気付
く。
コロナで死にかけたのに変わらず酒を飲
み旅に出る、渡辺一枝さんにいまさらな
がら感謝する、きっと人の二倍は生きた
だろう、そしてこれからも。
野田知佑の救出話はショックだった、そ
ういうことがあったのか。
新聞であいまいさに耐えるというような
大学の先生の文章を読んだ。最近は、日
頃から簡単に結論を決めつけない、わか
らないをわからないまままずは受け入れ
ようとしているが、それは耐える力とい
うのかと知った。
調べると、詩人ジョン・キーツ(知らん)
が「ネガティブ・ケイパビリティ」とい
う概念で、よくわからないことの中にた
だすくっと立つ能力、拙速な理解をせず
宙ぶらりんの状態を耐え抜く力のことら
しい。
そうなのか、そうなのだな。弱腰のよう
にみえるけど能力なんだ。
1956年アメリカ映画。
これはなかなかよくできた脚本の映画だ。
嫉妬した言葉のあやで予想外の展開にな
る。これでどうなるのかとはらはらした
ところで結末はあっけなかったけど、そ
こは少し残念。
アーネスト・ボーグナインはいいなあ。
若きロッド・スタイガーもいい(「夜の
大捜査線」しか知らないけど)、チャー
ルズ・ブロンソンも若いのに渋い、出て
いることも知らなかったのでうれしかっ
た。
小津の映画は「東京物語」「お早よう」
「晩春」の三作しか見ていない。黒澤全
作品を見たのに比べればいままであまり
関心がなかった。小津調のロー・ポジシ
ョンとかホームドラマであることとのみ
であった。さて、年末あたりに小津特集
で6,7本の映画をテレビでやっていた
ので録画してその1本目。
1962年遺作だそうだ。
わかりやすいロー・ポジション、固定さ
れた構図カット、棒読みセリフ、まった
くそのままである。役者は豪華で話した
いことはいっぱいある。
父親、その友人たちが東京帝大出、企業
のエリート役員であり娘の婚期に気がつ
き東大医学部出の青年に嫁がせる。まあ、
それもいいだろう、男尊の考え、友人た
ちとの猥談、戦争体験の消失、いろんな
ことが引っ掛かりつつ(軍艦マーチの場
面は秀逸、負けてよかったと呟くのも重
い)、それらを押しのけて、全体として
は含羞のあるとてもよくできたホームド
ラマであった。
あと数本残っているのでそれらを見てか
らもういちど感想を書いてみたい。