小津の映画は「東京物語」「お早よう」
「晩春」の三作しか見ていない。黒澤全
作品を見たのに比べればいままであまり
関心がなかった。小津調のロー・ポジシ
ョンとかホームドラマであることとのみ
であった。さて、年末あたりに小津特集
で6,7本の映画をテレビでやっていた
ので録画してその1本目。
1962年遺作だそうだ。
わかりやすいロー・ポジション、固定さ
れた構図カット、棒読みセリフ、まった
くそのままである。役者は豪華で話した
いことはいっぱいある。
父親、その友人たちが東京帝大出、企業
のエリート役員であり娘の婚期に気がつ
き東大医学部出の青年に嫁がせる。まあ、
それもいいだろう、男尊の考え、友人た
ちとの猥談、戦争体験の消失、いろんな
ことが引っ掛かりつつ(軍艦マーチの場
面は秀逸、負けてよかったと呟くのも重
い)、それらを押しのけて、全体として
は含羞のあるとてもよくできたホームド
ラマであった。
あと数本残っているのでそれらを見てか
らもういちど感想を書いてみたい。