長谷川恭男憲法教室

昨日と同じ岩波新書高橋源一郎「読んじゃ

いなよ」から長谷川恭男の教室。この人の

東大退官の挨拶文(web、今はない)が興

味深かったし、アメリカンロックが好きで

ベースを弾いてたことがあるとか普通の生

活もあるんだと。さて憲法をロジックに説

明する、右でも左でもなくあくまで法学と

してそこに政治の判断は入らないと。でも

最後のところで(歳を取ったか)人間の良

識があるとの見識を披露する。ガイド役の

高橋源一郎もさばきがうまい。

このあと3人目が伊藤比呂美なのだが省略。

この岩波新書は面白かった。

 

鷲田清一哲学教室

岩波新書「読んじゃいなよ」を読んでいて、

その第一章が鷲田清一

彼はこれから大事なのは哲学とアートだと

云う。アートは人と同じものを描いたらけ

なされるけど、人と違ったら感心される、

これは民主主義の根幹にある精神であると。

そうか、哲学とアートか。

もうわたしは生産性はないし同調すべき対

象はないし、アート関連はマッチングして

いるのだと得心する。哲学もそうなんだろ

うな、もういちどやってみるかな。

 

スティーブ・マックイーン「ネバダ・スミス」

1966年作品だから西部劇もかなり垢抜け

てきて現代的になっている、マックイーン

も現代の顔をしている。両親を虐殺された

犯人を追っかけて復讐をする物語なのだが、

読み書きを教える銃商人や宗教を授ける神

父と出会い徐々に大人になっていく成長物

語になっている。意外な展開で西部劇のイ

メージがますます拡がっていく。

ネバダ・スミス (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

辻原登「発熱」(上)(下)

このコロナ渦の半年は、辻原登マイブーム

の半年だ。今回は「発熱」、日経新聞に連

載していたものだそうだ。だから金融業界

の戦いの話で、その中身は読んでもまるで

わからない。大金持ちのフィクサーたちの

金満暮らしぶりの中で大切な人にだけ純愛

を貫く主人公、うーん、日経だからそうい

新聞小説になるのか。残念ながらこれは

わたしの好みではありませんでした。

発熱 上 (文春文庫)

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  • 作者:辻原 登
  • 発売日: 2005/03/10
  • メディア: 文庫
 
発熱 下 (文春文庫)

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  • 作者:辻原 登
  • 発売日: 2005/03/10
  • メディア: 文庫
 

 

 

チャールトン・ヘストン「エル・シド」

カトリック勢力とイスラム勢力が衝突を繰り

返すスペイン、イベリア半島で、11世紀に現

れた英雄の物語。スペインの歴史なんてまる

で知らない、ハプスブルグ家の大航海時代

フランコ独裁くらいか、だからイスラム圏で

あったあたりは皆目わからない。だから映画

を見ていてもピンとこない。ヘストンもソフ

ィア・ローレンも風格あり、その男振り、女

振りを見ていた映画だった。

エル・シド [DVD]

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  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: DVD
 

 

 

丸谷才一「笹まくら」再読

昔に読んでわたしのオールタイムベストい

くつに入る大事な小説を再読。

現在(といっても60年代)と戦争中を行も

空けずいったりきたりする、現代がちょっ

と冗長すぎるなと思いながら読み進めるが、

次第に戦争中の忌避中のディテールが明ら

かになってきて、後半から読むのを止めら

なくなってくる。

徴兵忌避は自分が殺されるのが怖かったの

でなく敵を殺すのが嫌だったと云う、思想

的でも理論的でもなく信条でもなくこころ

の良心みたいなもの。昔、良心的兵役拒否

の本を読んだことがある、いまは各国でそ

の権利が認められているが、一方で個人的

な罪の意識についてもよくわかる。

丸谷も召集され(二等兵、東大卒ならすぐ

に将校になれるのに)辛酸をなめたようで、

徴兵忌避をしたらという「if」を小説にし

たのだろう。単に戦争反対ではない、人間

と国家、歴史の不条理を個人の丹念な生活

の記述(ユーモアも交え)によって描いた

ものと再読してあらためて思う。

やっぱり傑作。

戦場のピアニストからの流れで読んだ)

笹まくら (新潮文庫)

笹まくら (新潮文庫)