テレビで前編後編で放送していたBBC制
を録画して見た。検察側の証人は小説は
もとよりビリー・ワイルダーの映画「情
婦」の原作としても有名で、このディー
トリッヒ主演の映画はあっと驚くどんで
ん返しでほんとに感心したことを覚えて
いる。
今回もサイドストーリーはあるものの順
当な展開の後、さいごにもうひとつどん
でん返しがある手の込んだ構成となって
いた。
コーエン兄弟のお兄さんの方が監督したコ
メディ。ディボースは離婚だそうで、でも
原題はIntolerable CRUELTY、とてつもな
い冷酷とでもいうのか、日本でも大竹しの
ぶの「後妻業の女」がよく似た話なのだが、
それをキャサリン・ゼタ=ジョーンズが演
じるので、相手も華やかなジョージ・クル
ーニー。二人とも華のある好きな俳優。
脇にジェフリー・ラッシュがいて、おバカ
映画なのだが楽しみました。
そうだ、忘れていた。高熱を出す前に、
SWITCHの新井敏記による池澤夏樹ロング
インタビュー本の第二弾をようやく読んだ
のだった。
第一弾の「沖に向かって泳ぐ」がとても面
白かったので探していたがブックオフで見
つけたのである。「花を運ぶ妹」を中心に
に物語を作っていくことの過程が興味深く、
早速読み直したのだった。
好きなのは春樹と夏樹というのも面白いな
とひとりごちる。
なぜ読者がついてこられるかという質問に、
村上春樹はこう答える。
信用取引として成り立っているからである。
ここには何かがあるし、それは決して悪い
ものではないということを読者と僕はお互
いに理解しあっているんだと思う。
そうなんだ、そういうことなんだ、そのと
おりだ、と合点する。風の歌でデビューし、
すぐに本を買い求め読んだ時から、わたし
は熱心な読者になったが、ねじまき鳥あた
りから大きな世界観の物語を書くようにな
り、なんだこれはと思いながらもある種覚
悟して付いていく、ここにはいままでに読
んだことがない新しい物語があるのだから
読むのだという気分は、信用取引だったの
だ。今回はちょっと合わなかったなともし
思っても、次も丁寧に手間をかけるに違い
ない「善き物語」であるという信用が私の
中で成立しているのだ。
それを訊き出した川上未映子(読んだこと
ないけど)は偉い。