関川夏央「砂のように眠る」

砂のように眠る―むかし「戦後」という時代があった (新潮文庫)
ひとつの時代についてフィクションとノン
フィクションを並べて、結果として「戦後」
を語る。そのなかのひとつに「二十歳の原
点」がとりあげられている、当時高校生の
ときに読んだ。すでに連合赤軍事件と重な
ってこうではなかったはずだとの向き会う
前の悔悛というのかなんともいえぬ憤りを
持ったことを苦く思い出す。いま「戦後」
をまるごと生きてきてすでに世の中につい
ていけていない、感性がずれてきている自
分に気付いている。

車処分

リタイヤしても、まだ収支がよくわからな
い経済状況なので生活を見直す形になって
いない。しかし、大きなきっかけとして車
を処分した、しばらく躊躇もしていたが決
断することにした。当面、必要なときは、
息子の車にシェアさせてもらうことにした
がうまくいくかはわからない。さて。

北村薫「太宰治の辞書」

太宰治の辞書
はじめて「空飛ぶ馬」を読んだのはいつだ
ったろう。もう30年近く前なのか。「円紫
さんと《私》」シリーズとして日常の謎
いう新しいミステリーを読み、《私》の瑞
々しさに惹かれ、シリーズは成長小説にも
なっていて楽しみだった。
途中から難しくなってきて、文学愛好家で
ないとついていけない話になってきたが、
今回も芥川、三島、太宰、その他と本の連
鎖というかうんちくと探究に溢れて、読ん
で楽しいながらほんとはよくわからないと
いう感想。《私》は夫も子供もいて、よく
成長したねと懐かしむが、そのあたりの話
はほとんどなくてそれはちょっと残念。
まだシリーズは続くのだろうか。

色弱6:色相環

光は電磁波で可視光線域の波長を人間は見
ることができると習った、スペクトラム
いって短波長の紫から長波長の赤までが見
ることができる。ところが色相環というの
も習った。これがなんとゲーテ、若きウェ
ルテルの悩みのゲーテが考えたものである
というので驚き。端っこの紫と赤を赤紫で
繋いで環にしている、なぜだ、でもすごい
イデアだ。でもスペクトラムに赤紫はど
こにあるのか。なんだかとても不思議であ
る。ちょうど周波数の違う音階がドレミか
ら倍の周波数になるとどうしてドになるの
かに似ている、不思議だ。
(どうでもいいことを書きながら頭の中を
整理して、色弱の私はなにを見ているかに
迫りたいと思っています。続く)

橋本治「草薙の剣」

草薙の剣
誰でもその時代に左右されて生きる、例え
ば1940年前後の若者は戦争に行き、また
数十年前までは地域格差も大きくそこでも
苦労があった。
この本は、世代の異なる6人の男と家族の人
生を昭和から平成まで描き日本人の軌跡を
辿る、個々の人生が時代と環境に巻き込ま
れていくのを淡々と描いていく。
個人ではどうしようもないことがある、全
体を見渡す、俯瞰して見るといっても、や
はりそうはいかない。私たちは与えられた
ものの中で生きていくのだ。わかってはい
るのだがせつないものだ。
わたしの草薙の剣は役に立ったか。
ところで平野甲賀の装丁はかっこよすぎる。

色弱5:なぜ錐体が重なっているのか2(勉強中)

L-錐体、M-錐体、S-錐体と3つあるのに、
なぜL-錐体、M-錐体はかなり重なっている、
隣接しているのかについて、医学の分野で
説明らしきものを見つけた。
https://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree.html
細胞工学というから学術誌なのだろう、筆
者は岡部Dr.伊藤Dr.というので、CUDOの中
心におられる医学の研究者であった。そこ
で、LとMは X 染色体上で隣接して配置され
ていると書かれており、ということはよく
似ているということで、なんらかの理由で
3つあるのと2つある場合があり、簡単に
云うと2つのときは色弱ということだ(1
つが弱い場合もだが)。
生物には、3色型色覚も2色型も4色型も
あるらしく、霊長類は木の実や果実を見つ
けるのに微妙な色具合を必要とし3色覚が
出現したという。どちらにしてもLとMはと
ても近い染色体に関わるということでよく
似た機能をもつ、つまり重なってしまって
いるということでとりあえず先へ進もうと
思う、納得したとはいえないけど。(続く)

映画「聲の形」

映画『聲の形』DVD
録画してあったアニメ映画、原作も知らな
いしなにも知らず見る。うーん、重い現実
をしっかり受けとめる、誰もが持つ善悪、
無意識のコミュニケーションをしっかり描
き、安易な人物設定になっていないところ
が画期的なアニメなのではないか。絵は残
念ながらわたしの好みではない。