池澤夏樹「また会う日まで」

700ページを超える長編小説一気に読

了す。深い感慨あり。

ひとりの人生をその時代に重ね合わせて

書き記す、ここでは海軍軍人、天文学者

キリスト教徒の3つの顔を持つ池澤の大

伯父について。

敬虔なキリスト教徒が戦争をする、軍人

なのだから敵を殺すかもしれない、それ

にどう折り合いをつけるのか。海軍の中

での研究部門、天文学者として生きる、

海軍だけでなく民間船舶にも有益な研究

をするという考えで乗り越えていく。

その時代の中で精一杯の判断、決断だっ

たのだろう、子供を亡くしたり、病気に

なったりしながらも、その誠実さが私生

活にも十分に反映される。そういう人に

寄り添って一緒に生きてみた読書の濃密

な3日間だった。堪能した。