坂東妻三郎「無法松の一生 (1943年版)」

伝説の名作をテレビでやっていたのでよう

やく見た。監督稲垣浩、脚本伊丹万作、撮

宮川一夫、主演阪東妻三郎

1943年だから戦争中で検閲厳しく大幅にカ

ットされているようだ。(リベンジで1958

年にリメイクし、ヴェネツィア金獅子賞受

賞)

無法者の話かと先入観を持っていたが、実

は、未亡人の子供の成長を見守る男気のあ

るキップのいい(映画の中の表現)いい男

の話であった。撮影も大胆なカット割り、

コマ割り、詩情豊かな映像で、当時からす

ればとても新しい映像だったのではないか。

車輪が廻る映像で時間の経過がわかり、車

輪が止まることで亡くなったことがわかる、

走馬灯のように一生を振り返るシーンも画

期的だったと思う。

坂妻ははじめて見たが、息子の田村高廣

そっくりで、豊かな表情をする役者だった、

他の作品も見てみたい。

未亡人への恋慕が表現されていないのは変

だなと思っていたら、そこは検閲カットさ

れたらしい。

いいものを見た。傑作。