松家仁之「沈むフランシス」

沈むフランシス
まるで知らなかった。処女作の「火山のふ
もとで」で読売文学賞を受賞した作家。元
は新潮社の優秀な編集者で、早期退職後は
雑誌「つるとはな」の編集人、そして作家。
たまたま「沈むフランシス」を購入し読ん
でみた。静かで落ち着いた物語、自然や生
活を端正に描いていく、そのなかで忍び寄
る不安、沈むフランシスとは何か、最後ま
で緊張が途絶えることなく読んだ。こうい
う静謐な話は好きだ。
あえていえばやはり都会人の書いた物語な
のだろう、主人公の女性の安直な恋愛、相
手の作られたかっこよさ、これらは都会の
スノッブなのだと思う、それが持ち味だと
云われればそうかもしれないが。