2012-09-04 藤谷治「船に乗れ!(2)独奏」 本 彼女と別れる理由は釈然としないが、その彼女との別れの 心理(心理描写ではない)はリアリティがあるし、音楽で 身をたてられるかの不安も切実だし、哲学をとおして先生 と共鳴するところと裏切るところに落差も、彼女のそばに いた友達とわかりあい長い友情を保つこと、それらの場面 が(安易な表現があるとしても)沁みる。これは高校生の 話であるが、実際は年を経てあのころを振り返る設定にな っているので余計にせつないのかもしれない。 (続く)