藤谷治「船に乗れ!(2)独奏」

(P[ふ]2-3)船に乗れ!  II (ポプラ文庫ピュアフル)
彼女と別れる理由は釈然としないが、その彼女との別れの
心理(心理描写ではない)はリアリティがあるし、音楽で
身をたてられるかの不安も切実だし、哲学をとおして先生
と共鳴するところと裏切るところに落差も、彼女のそばに
いた友達とわかりあい長い友情を保つこと、それらの場面
が(安易な表現があるとしても)沁みる。これは高校生の
話であるが、実際は年を経てあのころを振り返る設定にな
っているので余計にせつないのかもしれない。
(続く)