田家秀樹「吉田拓郎終りなき日々」

吉田拓郎 終わりなき日々
考えてみれば、2006年のつま恋でコンサートを見て以来、
バンド形式のツアーが途中で中止になり、大阪のチケットは
払い戻し、つづく最後のツアーも途中で中止になり、またも
大阪のチケットも払い戻し。2009年7月11日のブログ
で書いたように、会場まで行ってその場で中止を知るという
ショックな事態。結局あれから一度も見ていない。
そしてそのまま吉田拓郎はツアー活動をもうしないと云う。
それらの出来事を、筆者がずっと密着行動取材を続けこの本
にしている。
音楽界という特殊なところで第一線にいるということはかな
り過酷なものであり、しかも虚像が一人歩きすることのスト
レスは大きいことを知る。そしてそれらを飽きた、いやにな
ったと吐露する吉田拓郎の評価は分かれると思うが、本人に
は何を云われてもかまわないということなのだろう。
私達は、いや私はただ吉田拓郎を消費しただけだからそうで
すかとしかいえない。そうなんだ、もう充分に楽しく消費さ
せてもらったんだね。
こういうファンブックもいいけれど、いつか褒めることだけ
でなく、批判も書ける、書きたいことが遠慮なく書けるノン
フィクションライターが、評伝を書いてくれることを望む。
ファン向けの本と批評のある本には大きな差があり、後者は
歴史に耐えられるであろうし、吉田拓郎には歴史に残ってほ
しいのだから。