北村薫「ひとがた流し」

ひとがた流し
この作家の取り柄は、ディテールの細やかさである。
文体は短いセンテンスの積み重ねで読みにくいのだが、
こういう品のよさみたいなものが心地よい。
特に子供の会話、親子の会話が好きだ。
「月の砂漠をさばさばと」のさきちゃんが再登場で懐かし
かったし、楽しめた。
登場人物はいいひとばかりで、そんな展開はあるものかと
思うが北村薫はこれでいいのだ。