「ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像」

2020年フィンランド映画。(オンネリとア

ンネリと同じだ)

年老いた美術商がイリヤ・レービンという

ロシアの画家の作品を見つけだし翻弄され

る物語。渋くてディテールがしっかりして

いる、娘との確執、孫との交流も交ぜて、

フィンランドの静かな時間が流れていく。

よく知らない国の知らない暮らしの人生を

垣間見る、いい映画だった。

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「山田稔自選集 1」

名古屋の郊外のブックオフで、京都の編集

工房ノアの山田稔の本を見つけたときはた

いそう驚いた。惜しまれて閉店した京都の

「三月書房」のブログをときどき読んでき

たが、(東京偏重じゃない)京大か京都の

学者、作家の、天野忠山田稔などの作品

が紹介されているのをふしぎな感じで読ん

でいたからだ。

そこへ「山田稔自選集 1」、さっそく買っ

て読んだ。いろんな含羞あるエッセイ集な

んだろう。ひとつ、無断引用。

ゆるやかなデモに参加して、

「私が歩いても、・・・情勢がすこしでも

変ることはない。外の世界は変らなくても、

しかしごくわずかに、ごく微妙に、私は変

る。そうやって少しずつ変りながら、今日

の、いまの私がある。」

そうか、そういうことなんだな。

 

 

 

劉慈欣「三体Ⅱ 黒暗森林」(上下)

つづけて2巻、3巻である。

しっかりSFになってきた。ものすごい宇宙

への進出、宇宙艦隊とその戦力は膨大、地

球の経済力はそれを確保できるだけの膨大

さになっているのだろうか、誰がそれを生

みだしているのか。というような素朴な疑

問は置いておいて、副題の「黒暗森林」理

論は一見わかりやすくて、物語もどんどん

読める、わからんところは飛ばしても話は

わかる。さてさて4巻、5巻へ。

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ヒッチコック「私は告白する」

話は単純なのだが、これは止められない、

おもしろかった。教会の裏方の人から殺人

の告解を聞くが、神父は信仰の義務から他

人に告白できないことから、犯人扱いされ

た神父が苦悩する物語。

なかなかよくできている、恋人のアン・バ

クスターがきりっとしていて美しい、モン

ゴメリー・クリフトは能面みたいでどうな

んだろう。殺人者の告解を法的に裁けない

信仰とはなんだろうかと根本的な疑問はあ

るが、一方で、裁判で陪審員が、道徳的で

なかった神父を証拠が希薄だと無罪と判定

するところは立派だった。

 

佐々木譲「愚か者の盟約」

ねっころがっての読書。佐々木譲の政治サ

スペンスというか、政界の実在人物たちに

主人公を入れ込んで、政争の中である種の

信念を持ちながらのしあがっていく物語。

6、70年代からの旧社会党教条主義とい

うかダメさ加減の中でいかに力を獲得し、

最後は自民党を分裂させ政権を獲得する

まで。調べるとこの小説の後で、細川政

権が誕生しており、それを予見する小説

となったようだ。

最初に父親と第一秘書の父親との交流が

描かれ期待を持たせるのだが、その後主

人公と第一秘書にそのことが絡んでこな

いのは変、もったいなかった、忘れてし

まったのか。

 

朝顔2021その後

雨続きで朝顔ももうすぐ終わり。

手入れを怠ったので、しっかり育たなかっ

た。また南の庭に這わせたので、部屋から

見ると花の裏側しか見えないのが誤算、お

まけに午前中にしぼんでしまう、可哀そう。

いろいろ反省あり。

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「そして、私たちは愛に帰る」

2007年、ドイツ・トルコ・イタリア映画。

トルコとドイツの3組の親子の物語。政治、

文化に絡みとられ、でも「許す」ことを決

める、という映画だ。深くて十分には消化

できていないけど、映画ってほんとうにか

けがえのないひとつひとつの人生を描きだ

す。