高野文子「ドミトリーともきんす」

新聞の書評欄でマンガの紹介があり、気

になると書店で探そうとするのだが、ど

の棚にあるのか皆目わからない。かつて

書店へ行っても読みたい本が見つけられ

ないという人に会ったことがあるが慣れ

てないとそうだろうなと思ったことと同

じだろうなと思う。

ブックオフでときどきマンガの棚を眺め

る。これが人気があるのかなとか賞をと

った本だなとか観察する、ふと高野文子

を見つけた。読んだ本はみんなブックオ

フで見つけてきた、この本もようやく。

科学を志す青年の思考、探究、そして詩

や哲学につながるものをマンガで表現し

ようとしている、とも子さんときん子ち

ゃんを仲立ちにして。

むつかしいことを読者に届けようとして

いることはわかる、わかるけどわからな

い、ものたりない、朝永振一郎ひとりに

絞ってくれてもよかった。彼のエッセイ

を大昔に読んだことがあるが深い喜びを

感じ入った記憶がある(湯川秀樹のはむ

つかしかった)。いいんだけどな、わた

しには惜しかったな。