辻原登「翔べ麒麟」(上)(下)

阿倍仲麻呂を主人公の中国もの長編歴史

エンタメ小説。辻原には同じ中国ものの

「韃靼の馬」があるのだが、わたしはこ

ちらの方が好み。阿倍仲麻呂は帰国でき

なかった悲劇の遣唐使、「天の原 ふりさ

けみれば 春日なる・・」という和歌でも

有名なのだがどんな人なのかはまるで知

らなかった、こんなに唐で高級官僚にな

っていたなんて。

小説では、玄宗楊貴妃に仕え、安禄山

の乱に関わり、波乱万丈の生き方に心躍

る、しかもまわりの人物たちも魅力的で

ぐいぐい読ませていく。虚実をうまく取

り混ぜて、どれが本当でどれが創造かわ

からないのだが、いやあ、面白かったぞ。

ちょうど、この辻原登「翔べ麒麟」と池

澤夏樹の新刊「また会う日まで」と村上

春樹の新刊「街とその不確かな壁」、好

きな作家の新作長編が控えており、えん

やこらと急ぎつつ、しかも丁寧に読んだ

のだった。堪能した。

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