阿倍仲麻呂を主人公の中国もの長編歴史
エンタメ小説。辻原には同じ中国ものの
「韃靼の馬」があるのだが、わたしはこ
ちらの方が好み。阿倍仲麻呂は帰国でき
なかった悲劇の遣唐使、「天の原 ふりさ
けみれば 春日なる・・」という和歌でも
有名なのだがどんな人なのかはまるで知
らなかった、こんなに唐で高級官僚にな
っていたなんて。
の乱に関わり、波乱万丈の生き方に心躍
る、しかもまわりの人物たちも魅力的で
ぐいぐい読ませていく。虚実をうまく取
り混ぜて、どれが本当でどれが創造かわ
からないのだが、いやあ、面白かったぞ。
澤夏樹の新刊「また会う日まで」と村上
春樹の新刊「街とその不確かな壁」、好
きな作家の新作長編が控えており、えん
やこらと急ぎつつ、しかも丁寧に読んだ
のだった。堪能した。